クリエイティブ視点で「情シスすごろく」をリニューアルしたお話。

前回は、HENNGEが制作した「情シスすごろく」が2022年10月に誕生した裏話をインタビュー形式でお伝えさせていただきました。

念のためおさらいすると、「情シスすごろく」とは、情報システム部=情シスの皆さんの日常業務やトラブルのあるあるを疑似体験できるゲームです。

「情シスすごろく2」のパッケージ。

今回は、そのリニューアル版であり僕も関わることになった「情シスすごろく2」(2024年4月発表)について、クリエイティブ視点でお伝えできればと思います。

「情シス以外の部門にも敷居を下げるデザイン」へ

前回ご紹介した「情シスすごろく1」は、さまざまなWebメディアに取り上げられ、非常に好評でした。僕自身も「おもしろい企業プロモーション」として入社前から知っていたくらいです。

2023年に広告代理店を辞めてHENNGEに入社した後、「もしリニューアルの話があったら担当したい」と話していたところ、その機会はすぐに訪れました。

リニューアルポイントとしては、
・ルールをもっとシンプルにしたい
・デザインにもっとボードゲームらしいエンターテインメント性を与えたい

というものでした。

それにはいくつか理由があります。

ひとつは、情報システム部門のメンバー同士でプレイする際に、ゲームが複雑で理解するのに少し時間がかかるということ。いろんな実験的なトライをしたことで、ルールが複雑になってしまっていました。

もうひとつは、実際にプレイいただいた方のレビューの中で、社内研修などでこのゲームを活用すれば、情報システム部門以外の人々にも業務の理解を促せるかもしれないという意見があったことでした。これには、僕自身も同感しました。

僕自身も感じていたのですが、情報セキュリティ研修ってどうしても堅苦しくなりがちです。ゲームを通じて楽しく学びながら、セキュリティリテラシーを向上させることができればステキだなと思いましたし、そのためにも、情シス以外の部門の方も参加できるように、もっと敷居を下げるデザインが必要だなと感じました。

プレイする時のタイルの並び。

まず、ルールをもっとシンプルにすることにしました。

僕も「1」をプレイさせてもらった時に感じたんですが、初回は特に複雑に感じたんです。これは僕も含めた情シス以外の人は、結構戸惑うかもしれないなと。

ゲーム中、いつもだれかが説明しないと分からないところがあり、まずはそこを変えようという話になり(前コラムでも登場した)板垣と安江を中心にルールのリニューアルをしていきました。

発生するトラブルも「部長の私用ID・パスワードが漏えい」「社内の主要なシステムが同じパスワードだった」といった実在するものに改め、よりプレイヤーに情シス業務を自分ごと化できる工夫を施しました。

止まったタイルに書かれているトラブルを、手持ちのソリューションカードで回避できなければ、メンタルと体力が奪われてしまう。

また、デザインもより遊び心を加えたものにしました。

「物がニッチなので、デザインはポップでリッチ感がある方がギャップが出て面白いんじゃないか」という話になり、基本的な部分はそのままに、デザインやイラストレーションも一新しました。

印刷方法も箔押しを取り入れるなど質感をリッチにすることで、遊んだ時に印象に残るような工夫をしました。

また、「情シスすごろく」は、発生するトラブルに対して手持ちのソリューションカードで対応していくゲームなのですが、情シス以外の人には耳慣れない業務用語が多く、説明文も長くなりがちなことから、シンプルで分かりやすいレイアウト構成・書体・色使いを心がけました。

色に関しては、ポジティブな要素はブルー、トラブルなどのネガティブな要素をレッドで統一して表現し、視覚的にも直感的に理解できるようにしました。

タイルのデザイン。さまざまな“情シスあるある”トラブルを用意している。

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古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)
古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)

広告プロダクション、外資系広告会社を経て、2023年にHENNGEのクリエイティブディレクターに就任。デザイン戦略やブランド構築を担当。同社のメインプロダクトであるHENNGE Oneのリブランディングや、ユーザーコミュニケーションを向上させるデザインプロジェクトを手がける。

古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)

広告プロダクション、外資系広告会社を経て、2023年にHENNGEのクリエイティブディレクターに就任。デザイン戦略やブランド構築を担当。同社のメインプロダクトであるHENNGE Oneのリブランディングや、ユーザーコミュニケーションを向上させるデザインプロジェクトを手がける。

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