人材不足を補うための、データ活用できる営業新体制を作るには?

続いて、BtoBマーケティングにおける第3世代の基本形が解説された。

イメージ 事業成長のための営業組織の新体制についてのスライド

マーケティング活動では一般的に、新規顧客からの案件を創出するデマンドジェネレーションが注目される。しかし大手企業または既存主事業の場合、既存顧客の維持やクロスセル・アップセルなどの案件創出が重要になる。

新規顧客の開拓だけでなく、既存顧客からの売上最大化に取り組むようになると、マーケティング組織は第4世代となる。そして、顧客サポートチームなどと連携しつつ、そのデータを活用し、生成AIや自動化まで取り組む企業を第5世代と定義している。

水面下では、第4世代や第5世代の企業も増加しており、BtoBマーケティングに取り組む事業の中でも、事業貢献率10%以上の高い成果を出しているのが実情だ。

各種ツールが台頭するも、構造上の障壁も

組織的な発展に応じて、営業やマーケティングの基盤環境が整備も進んだ。

この10年でMA(マーケティングオートメーション)はもちろん、セールステックも含めて多くのツールが誕生している。Nexal社の調査によると2023年5月時点で、MAの導入率は国内企業60万社では約1.5%、上場企業は14.6%で、伸び率は緩やかになっているが今後も増える可能性があるという。

「コロナ禍の影響により展示会などのイベントがオンライン化したことで、MAの導入が急速に加速しました。複数の事業体を持つ企業では、事業部によって異なるMAが導入されたケースもありました。直近では、全社的に統一したツールを決め、分散したデータを統合し、全社活用する動きが増えてきています」(上島氏)

こうしてツールの導入が進む一方で、データ連携に取り組むことができている企業は多くない。特に、既存顧客のデータ連携に課題を抱えている企業が多いようだ。

顧客の行動記録、商談記録、受注記録、保守・修繕・サポート記録などが連携できないと営業の動きを変えるのは難しいが、保守やサポートに関するデータ連携は容易ではない。特に製造業においては、事業構造上の難しさも抱えている。

イメージ 事業成長のための営業組織の新体制についてのスライド

製造業では、製販が分離されていて、開発、販売、保守・サポートのそれぞれを異なる法人が担っていることも珍しくない。法人が異なるとデータの形式も異なることも多く、データ連携にかかるコストが大きくなるのだ。

前のページ 次のページ
1 2 3
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ