一方で、連携開始時にコストはかかるかもしれないが、データ連携が創出する価値は大きい。
データ活用によって、営業活動は大幅に効率化できる。「この統合データから生まれる価値を上層部がどの程度理解しているかが、各社のデータ基盤を大きく左右するだろう」と上島氏は話した。
現状認識からはじめる営業・マーケティング変革
組織体系にも、この10年間で変化があった。
2023年のNexal社の調査によると、上場企業におけるマーケティング組織設置率は11.36%、DX関連組織設置率は11.70%だ。また、カスタマーサクセス組織の設置率は2.9%となっている。特にDX関連組織の設置率は、コロナ禍発生を機に大きく数を伸ばした。
これらの数字から組織再構築への潮流を感じられるが、「組織を再構築するにあたっては、過去の受注および顧客分析と、将来ビジョンや方針が必須だ」と上島氏は話した。
「まず、どのフェーズ・どの領域にどれだけのリソースがかかっているのかを把握します。その上で、顧客をセグメント別に分析し、対面訪問型の営業リソースをどこに投入するべきかという方針を決めていきます。また人員配置においては、社外の代理店やパートナー、社内では営業企画や営業サポート、プリセールスなどを含めて、適切な人材配置を考えていく必要があります」(上島氏)
外部環境、マーケティングや営業手法、データ基盤など多くのことが変化するなかで、これからどのように組織を構築していけばいいのだろうか。
上島氏は「まずは現状認識が大切だ」と説く。今後5〜6年の営業職の人員構成を把握し、現在どこにリソースが多く投下され、どの部分が非効率なのかを把握する。もちろん、売上分析や受注分析も必須だ。
その上でデータ基盤を整える。どのようなデータがあれば営業の動き方は変わるのか、データ連携でどのような価値が生まれるのかを整理した上で、今後の方向性を定める。方針策定には、社内上層部の合意形成を進めることも欠かせない。
そして上島氏が「もっとも伝えたい」と語気を強めたのは「新体制は縦×横×斜め軸で考えること」「これから考える企業は、アジャイル型で素早く取り組むこと」だ。
組織を変えるには1〜2年ではなく、より長期的なスパンで考えて実行することが求められる。今後人口減によって一層厳しくなる採用や、それによる社内の組織構造の変化を鑑みつつ、5年先を見据えて営業・マーケティング組織を再構築しなくてはならないと指摘した。
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