「生活」したことないAIと、「生活」してる(つもりの)人

さて、本コラムですが、今回が最終回となります。

ここまで、生成AIとデータや情報との向き合い方として、ストーリーテリングの発展的なアプローチとして、「ストーリー・プロトタイピング」という考え方についてお話しさせていただきました。

最終回である今回のテーマは、

「どうやってそのストーリー・プロトタイピング力を身に着けるのか?」

になります。

神話を読み解く

そのむかし、地球上の人々は「ミュトス」(神話)を信じていました。

まだインターネットやAIはもちろん、機械文明すらなかった頃の話です。

あるときは、日常の生活や仕事で困ると、たくさんある神話の中から参考になりそうミュトスを選び、問題を解決しました。

またあるときは、先生や親たちが先人の知恵や勉強するときに引き合いに出し、みんな学び合いました。

そもそも、当時は、自然災害など人々の生活や仕事の環境などは予測不可能な事柄も多く、ミュトスという“ストーリー(物語)”に頼るほかなかったのです。

有名なのが、ギリシャ神話や七福神などですね。英雄伝説や幸運や不幸が起きた時、人々はさらに信仰を深めてたと思います。

つまり、当時の人々の共通言語や拠り所は、まさにずっと僕が言及しているストーリーのプラットフォームだったと思うのです。

尤も、現代ではAI含めた多種多少なテクノロジーを生み出した「科学的思考」も介在するので、それらとの整合を取る必要があるのは、前回のデータや情報との向き合い方で論じた通りです。

神話を読み解いてみることで、そのストーリーを活用した現代的な価値共創のヒントが隠されてるかもしれません。

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中原大介
中原大介

帝京平成大学人文社会学部専任講師、慶應義塾大学 SFC研究所上席所員、東京工科大学メディア学部兼任講師。専門は、インタラクションデザイン、デジタル教育、SFプロトタイピング。最先端のAIテクノロジーの社会実装、産学官民共創による教育エコシステムの研究に取り組んでいる。近著『一般教養としてのプログラミング』(SBクリエイティブ、2023年)。

中原大介

帝京平成大学人文社会学部専任講師、慶應義塾大学 SFC研究所上席所員、東京工科大学メディア学部兼任講師。専門は、インタラクションデザイン、デジタル教育、SFプロトタイピング。最先端のAIテクノロジーの社会実装、産学官民共創による教育エコシステムの研究に取り組んでいる。近著『一般教養としてのプログラミング』(SBクリエイティブ、2023年)。

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