※本記事は、月刊『宣伝会議』9月号の巻頭特集に掲載されています。
2024年度は、ブランドアンバサダーに岡田将生さんを起用し、「ARE YOU READY?」というコピーを添えた。
「日傘=女性のもの」という固定化したブランドイメージ
昨今、特に夏の気温上昇などが叫ばれ、熱中症対策がこれまで以上に重要になっている。男性の美容に対する関心も、年々高まりを見せており、紫外線対策を積極的に行う男性も増えている。
そのような状況を受け、ワールドパーティーは2021年、男性日傘ブランド「Wpc. IZA(ダブリュピーシーイーザ)」を立ち上げた。当時、同社が展開する「Wpc.」ブランドは女性をメインターゲットにしており、購買者の95%は女性という状況だったが、完全男性向けブランドと位置付けた。
「今から6年ほど前から、男性向けの美容商品が雑誌やテレビでよく取り上げられるようになり、男性美容業界の盛り上がりを感じていました。私も化粧水を買ってYouTubeで使い方を調べたりして(笑)。男性で肌に気を配るようになっているということは、日差しを避ける日傘もいずれ男性にも広がっていくだろうと予測しました」とワールドパーティー執行役員COO営業本部長Wpc.事業統括部長の角谷圭一朗氏はブランド発足の経緯を話す。
「Wpc. IZA」発足前、消費者がWpc.に持っていたイメージとしては「女性向けのブランド」でかわいい、オシャレといったものが多く、消費者からのイメージが固定化していた。Wpc.から派生したブランドとして、男性向けを立ち上げたが、既存のブランドイメージは男性向けブランドにとっては適切ではない面もあった。
それゆえ、当時は男性の日傘使用率は5%にも満たなかったものの、あえて「女性も使える」「男女兼用ユニセックス」といったイメージを与える言葉やビジュアルは一切使わずスタート。
少しでも女性をターゲットに含めてしまうと、Wpc.のパーセプションに寄ってしまう。そう考え、「あわよくば女性にも買ってもらえないか…」という下心はゼロにして、これまでとはまったく別の見え方をする新たなブランドとして、認知をとっていくことに決めた。
男性向けブランドであることを徹底的にアピールするために、ビジュアルでも“男らしさ”をイメージ。モデルには、窪塚洋介さんやオダギリジョーさんなど、男性が憧れるような俳優を選定。
「もちろん社内では、『男性向けのブランディングをして売上がとれるのか』『女性にも買ってもらったほうがいいのでは』という反対の意見もありました」(角谷氏)。
それでも、新たなブランドのパーセプションを獲得するため一貫して、“男性向け”というブランディングを貫いた。
結果として、発売から1~2年目はWpc.との大きな差別化された認知はあまり取れなかったものの、4年目となる2024年には、「Wpc. IZAはWpc.とはまったく別物のブランド」という消費者のパーセプションを獲得してきているという。
男性をターゲットにした商品カラーやデザイン。傘以外にも、レインハットやレインポンチョなど、生地にもこだわり展開している。
…続きは、月刊『宣伝会議』9月号でお読みいただけます。
月刊『宣伝会議』2024年9月号
【巻頭特集】
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足立区/artience/タマノイ酢/ワールドパーティー
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大山英輝/関谷アネーロ拓巳