いいコピーには「価値の発見」と「感情の設計」がある

コピーライター、クリエイティブディレクターとして活躍する井手康喬さんは、「僕は最初、コピーとはその一行だけで感銘を与えたり人を泣かせたりする文学やアートのような言葉こそ至上、だと思い込んでいました。(でも違った)」と述べています。
 
このたび、コピーライター養成講座の全6回の特別クラスで講師を務める井手さんが、改めてコピーの役割や、拡張するコピーライターの役割について2回にわたって解説します。

私は博報堂ケトルでコピーライター・クリエイティブディレクターをしています、井手康喬と申します。博報堂ケトルという会社は、創業当初から「手口ニュートラル(解決のために手段をとわない統合プラニングスタイル)」というメソッドを標榜していたこともあり、マス広告からPR、事業開発やテレビ番組企画など、あらゆる種類の課題解決・価値創造の相談が舞い込んできます。

そんな中で「コピーライターという経歴を武器にしたクリエイティブディレクター」として働いていると、自然と、「コピーの技術や言語化で、ありとあらゆる課題を突破していく術」というものが身についてきます。このコラムでは、その経験で得た一部の学びを、【前篇】と【後篇】に分けて少しずつみなさんにお伝えしようと思います。

応用するためには基礎の力量が必要

今回の【前篇】は、といっても、「広告としてのコピー」のお話です。これから応用していくテクニックすべてのベースになる部分です。ここ、大事です。コピーライターの力量をここで養っておかないと、いくら応用としてPRや事業開発でコピーを武器にしようとしても、基礎ができていないので、ただコピーライターと名乗るだけの人がコピーらしきものや言葉を中心にした企画書を書いて立ち回っているだけの、ちょっと怪しい人になってしまいます。

広告コピーの書き方、という意味では、ここで伝えるべき内容は膨大になりすぎてしまうので、今日は基礎の基礎の考え方から入りたいと思います。

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