サントリー「特茶」奈良テレビで短尺動画を放映「空虚じゃない」広告目指す

“流れていってしまわない”CMをつくりたい

サントリー食品インターナショナルの「特茶」は、7月21日から毎週日曜の3回にわたり、奈良テレビでショートムービー「特茶しか」(全3話、各3分)を放映した。

各話、YouTube上でも公開されている。第一話「記念写真」篇。

「トクホ飲料において、ケルセチン配糖体は特茶にしか入ってない」という製品独自の特徴を、「しか」を切り口とした会話劇で描いている。企画と演出は、OND°のディレクター岩崎裕介氏が手がけた。

第二話「デート」篇。

テーマは、すでにテレビCMとして展開されていた「特茶研究所 特茶しか」篇をベースにしている。

「特茶研究所 特茶しか」篇。「特茶の関与成分 ケルセチン配糖体は、トクホ飲料の中で特茶に“しか”入ってない」ことを、“しか”にかけて、出演者に鹿の角をつけてコミュニケーションしていた。

サントリー食品インターナショナルの伊藤正明氏は、本企画の経緯をこう振り返る。「しか→鹿→奈良公園→奈良テレビという連想から、奈良テレビに話を持ち掛け、日曜夕方の3分枠でショートドラマを放映できることになりました。地方局とのコラボレーションは、以前『ラランド ニシダのお悩み散歩』でサガテレビさんとご一緒して以来。岩崎さんへのオリエンは、シンプルな方が表現の幅が広がると思い、『奈良公園を舞台に、“特茶しか”を立たせた3分の企画をつくりたい』とお願いしました」。

企画や演出を担当した岩崎氏は「3分という時間は、CMとしてはおおよそ人間が耐えうる尺感ではないので、きちんと強度のあるお話をつくるべく『しか』について真摯に向き合いました」と話す。

その中で出てきたキーワードは「全体主義」や「驕り」。それをベースにしつつも、CMとしては「しか」が残るよう意識して脚本や演出に落としこんだ。「視聴者の方が実生活の中で『しか』に直面したときに、ぼんやりと特茶や、ケルセチン配糖体のことを思い出してほしいな、という塩梅を想定しています」(岩崎氏)。

また俳優は、小劇場やインディペンデント映画によく出演する演技派のメンバーで構成。「まだ“発見”されていない無数の名優を、多くの方の目に触れさせることができるのも、CMの醍醐味だと思っています」(岩崎氏)。

第三話「しか」篇。

奈良テレビでの放映後、3篇はYouTube上でも公開されている。
「昨今の広告業界は真新しい、あるいは懐古主義的な、主に時代性を重んじたものが好まれる傾向にあります。ただ人はいずれ死ぬので、表面的な共感や『広まる』ことよりも、深く刺さり『残る』ものづくりを自分は心がけています。そのためバズにとらわれず普遍的なテーマを真ん中に据えた映像を制作できたことは自分にとって誉高く、極めて有意義でした」(岩崎氏)。

ちなみに本作の企画のきっかけは、「『ブレーン』2024年2月号での、岩崎監督と(CMプランナーの)福里真一さんの対談だった」と伊藤氏。その中で岩崎氏が“開眼”したきっかけとして挙げた黒烏龍茶のWeb CM「黒烏龍譚」を、当時サントリー側では伊藤さんが担当していたこともあり、今回の“再集結”に至ったという。

「また同じ記事の中での岩崎さんの『CMって流れていってしまうので、どこか空虚だ』という発言は、僕らが扱う飲料の広告においても課題に感じるところもあったので、『アーカイブされて残っていくような広告でぜひご一緒したい』とお声がけしました」(伊藤氏)。

スタッフリスト

企画制作 東北新社
企画+演出 岩崎裕介
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Pr 長束雄介
PM 角結人、安藤健、矢島栄太郎、山田泰世
演出(助手) 関口きらら
撮影 大河原真生
撮影(助手) 中根凱也、伊藤しおり
録音 満田博幸
ST 奥原さくこ
HM 澤井尚美
出演 鳥居海聖・岩崎裕介(「記念写真」篇)、神嶋里花・瀬安勇志(「デート」篇)、木村知貴・川合凛(「しか」篇)
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