フェイクニュース・なりすまし…SNSと広告メディアの課題とは?

澤野:プラットフォーマー側のチェック体制について言えば、年々ポリシーを見直して更新していましたが、対応しきれない新たな問題も次々と発生して、いたちごっこ状態でした。倫理観を持った対応を実践するとなると、相応のコストと時間が必要です。長澤さんのおっしゃる通り、経営としての意思決定が求められます。

民間企業なのでチェック体制にかけられる資本の上限もあります。フェイクニュースのつくられ方もどんどん巧妙になっている上、国家ぐるみで攻撃される中、いち企業だけで立ち向かわなくてはいけない。「プラットフォームを提供しているのだから、そこに載る悪い投稿をすべて取り締まるのは当たり前」という意見は理解できますが、SNSプラットフォーム企業の多くは「表現の自由」を実現することを標榜してビジネスを始めており、そしてその範囲は国ごとに微妙に異なります。

日本でも法律的な有害情報と違法情報の切り分けが難しく、名誉毀損の裁判でも高度な議論が必要なこの問題を、ひとつのプラットフォーム企業がどこまで判断して対応できるのか。現実的には各国の専門家の意見を取り入れながら悪い投稿とは何か、問題を定義しポリシーをつくる。一つひとつの投稿のコンテキストを分析し、ポリシーに則って対応するという運用になるわけです。慎重な議論や周到な準備を要することも、SNS上の様々な問題への対応が後手に回った原因のひとつだと思います。

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