澤野:広告に話を戻すと、以前はコンテンツの視聴を阻害する広告フォーマットは規制しようという動きがありました。一時期、それがなくなったはずなのに、最近また元に戻っている気がするのですが…これは広告のビジネス的要素が再び強まっているせいなのでしょうか?
長澤:そもそもコンテンツ視聴の邪魔をする広告は、ユーザーから見れば「ウザいもの」以外の何物でもないはず。これは、広告主が極端なクリック至上主義に陥った結果、ユーザーの感覚を無視してクリックしてくれる人だけを客と考えるようになったためだと思います。自社のブランドが毀損される危険性よりも、クリックを求めるKPI訴求が上回ってしまったのでしょうね。
これはメディアの経営環境とも関係があって、雑誌や新聞の部数が落ちてくると、デジタル広告収入への期待が高まるわけですね。そうすると、より多く稼ぐために広告枠を増やし、大型枠化することでより高く売ろうと考えるようになる。つまり、メディアとしての体力の衰えがそうした現状も生んでいるのだといえます。
━━後半に続く