【はじめに全文公開】『強みを見つけるブランディング―あなたの会社の「よいところ」ちゃんと伝わっていますか?』(戸部二実著)

「宣伝会議のこの本、どんな本?」では、当社が刊行した書籍の、内容と性格を感じていただけるよう、「はじめに」と、本のテーマを掘り下げるような解説を掲載していきます。言うなれば、本の中身の見通しと、その本の位置づけをわかりやすくするための試みです。

今回は、8月2日に発売した新刊『強みを見つけるブランディング―あなたの会社の「よいところ」ちゃんと伝わっていますか?』(戸部二実著)の発売を記念して「はじめに」を紹介します。

イメージ 書影 『強みを見つけるブランディング―あなたの会社の「よいところ」ちゃんと伝わっていますか?』(戸部二実著)

2024年8月2日発売/戸部二実著/定価:1,760円(本体1,600円+税)詳細・購入はこちら

企業経営や組織運営で起こる問題・課題の99%は、ブランディングで解決できます。

もしかしたらあなたは、自分の会社のブランド、他社との差別化やブランディングに悩みを抱えて、この本を手に取っていただいたのかもしれません。これは、そんなあなたに贈りたいメッセージです。

私たちは企業ブランドの策定やブランディング戦略の立案から、クリエイティブの制作など企業ブランドの構築・発信のあらゆるフェイズに関する実務を行うコンサルタントとして、金融、メーカー、商社、流通、人材系など、累計500件以上(刊行時点)ものあらゆる企業のブランディング戦略の立案や実践に携わってきました。各社、業界や規模が違えば、当然ながら抱えている悩みは違います。それどころか、業界や規模、サービスが近接していても、それぞれまったく異なる課題を持つケースもありました。もともと、私は新卒で株式会社リクルートに入社し、大手企業からベンチャー企業まで、新卒採用のサポートを行っていました。その頃から数えるとお付き合いしてきた会社は1000社を超えるほどです。

多くの企業と関わり、悩みを聞きながら解決策を見出してきた中で、ふと気づきがありました。それは、各社抱える悩みは違えども、突き詰めていくとその根底にあるのは「業績」と「組織」の問題であること。そして、そうした問題や課題は、会社のブランドを確立することで解決できる(少なくとも解決の糸口を掴むことはできる)ということです。どういうことか、少し掘り下げていきます。

まず、業績の悩みといえば、売上や利益に関するもの。その一因に「競合企業が増え、自社の優位性が見えにくくなった」や「自社のサービスに社員が誇りや自信を持てない」ということがあるのではないでしょうか。

組織の悩みとしては、社内の人材に関する課題、具体的には「そもそも人材が集まらない」「せっかく採用しても、活躍する人材が少ない」「離職率が高い」といったケースが挙げられます。または自社に対する社員のエンゲージメント(帰属意識や仕事へのモチベーション)が低いといったことを問題視する企業もあります。

こうした問題の多くは「その要因は?さらにその要因はどこにある?」と掘り下げていくと「コミュニケーションの問題」に行き着きます。「自社で展開する商品やサービスの良いところが顧客にうまく伝わっていない」「自社の魅力や仕事の面白さが社員や求職者にうまく伝わっていない」など、ようするに「伝えたい対象に、自社のこと、自社の強みを正しく理解してもらえていない」状態です。

こうした問題や課題を解決しようとして、企業はさまざまな手を打ちます。売上であれば、広告宣伝の強化や営業活動のテコ入れ、新商品開発への注力などが挙げられます。人材採用であれば、採用活動の強化や社員向けのイベント企画、または社内の制度設計から考え直すケースもあるかもしれません。これらは適切な打ち手に思えますが、これだけでは足りない。手法に走っているともいえます。

なぜなら、営業を強化しようとツールを導入したり研修を行うなどしても、競合他社との違いが不明確であったり、自社の強みが営業担当社員に浸透していないなどの状態であれば、自社の優位性がともなった営業活動にならないからです。きっと期待するほどの効果は得られないでしょう。

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