やりがいと「無限地獄」の先にあるもの―インハウスクリエイターの仕事

こんにちは。前回は、HENNGEが制作した情報システム部の“あるある”をボードゲームにした「情シスすごろく2」の開発秘話について、クリエイターの視点から紹介をさせていただきました。

今回は、インハウスクリエイターとしてのやりがいや葛藤について、自身のHENNGEでの体験から書いていければと思います。

インハウスクリエイターは「的確な問いを立てること」が重要

写真 7月から品川駅で展開している企業広告。こちらのクリエイティブディレクションも筆者が担当している。

7月から品川駅で展開している企業広告。こちらのクリエイティブディレクションも筆者が担当している。

僕は、HENNGEのコーポレートコミュニケーションディビジョンという部署に所属しインハウスクリエイターとして働いています。

皆さんは、「コーポレートコミュニケーション」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか?なんとなく、広告を企画する部署と思う方が多いかもしれません。

僕の所属するコーポレートコミュニケーションディビジョン(以下、CCDと略)は、企業や製品のコミュニケーション戦略全般を担う、いわば企業や製品の「顔」をつくる部署で企業のイメージを左右する大切な役割を担っています。

CCDの最大の特徴は、裁量権の大きさだと思います。HENNGEでは現場に大きな裁量権が与えられており、ボトムアップで施策を提案・実行することができ、ブランディングには億単位の予算が割かれています。

CCDの今の主なミッションは、簡単にいうと「ブランドの認知度を高める」こと。

この目標を達成するためには、多額の予算をいかに効果的に活用し、プロジェクトを推進していくかが鍵となります。地図のないところから地図をつくり、ゴールを見据えながら社内外のスタッフとつくり上げていくイメージです。

インハウスクリエイターとして働く上で(どの職業でもそうだとは思いますが)、とても重要だなと感じるのは、的確な問いを立てることかなと思います。

これは、広告会社からインハウスに転身してから、より強く意識するようになった点です。

インハウスでは、企業の内部構造や外部環境など、より広範な視点からブランディングを捉え、戦略的にアプローチしていく必要があります。

そのためには、常にアンテナを張り、問題の芽をいち早く見つけて、適切な質問を投げかけることで、問題解決への糸口を見つけることが大切だと感じます(言うは易し、行うは非常に難しですが、、)。

また、メインのタスク以外にもやるべきことは無数にあり、様々な経験が積めることもインハウスクリエイターのやりがいの一つかなと思います。

会社の行動指針をドンジャラゲームに

写真 ドンジャラをアレンジしたHENNGEの社内向けボードゲーム「ヘンジャラ」。

写真 ドンジャラをアレンジしたHENNGEの社内向けボードゲーム「ヘンジャラ」。

例えば、入社間もない時に人事の組織開発チームから「会社の行動指針を社内で浸透させるいいアイデアはないか」と相談されたことがありました。

会社の行動指針って、どうしても「なんか説教くさく、堅苦しいイメージ」があるので、ただ学ばせるのではなく、遊ぶ体験を通して楽しく学べないかと考え、「ドンジャラ」をアレンジした「ヘンジャラ(だじゃれですね、、)」というボードゲームをチームで作りました。

HENNGEの9つの行動指針「HENNGE WAY」がプリントされた牌を使い、ドンジャラと同じルールで遊べるというものです。

写真 牌に「HENNGE WAY」がプリントされている。

牌に「HENNGE WAY」がプリントされている。

写真

写真 スコアシート。

スコアシート。

また、オフィスフロアを増床する際も、経営陣の「メンバー間の自然な会話が生まれる空間にしたい」という意向を汲んで、座席数や壁の色、什器のディレクションから会議室や各フロアの名称決めなどを手掛けました。

写真 会議室や各フロアの様子

無限地獄の先にある、高揚感と達成感

このように、広告コミュニケーション戦略の立案から、社内向けの施策、さらにはオフィス空間のデザインに至るまで、さまざまなことに広く深く関われるインハウスクリエイターですが、大変な点としては、先ほど述べたことと矛盾しますが、やることが無限にあることでしょうか。

どこまで見なければいけないのか、どこまで関わらなきゃいけないのかが良くも悪くも曖昧ですし、果てしないんですね。

代理店の時は外部からのブランディングということもあり、業務範囲がある程度明確に決まっていましたが、事業会社では自らやるべきことを考え、取り組み続けなければなりません。

どの領域にどれだけの時間と労力を費やすのか、その判断と責任は全て自分自身に委ねられています。

失敗や挫折を経験することもありますが、試行錯誤をチームで繰り返しながら、少しずつブランドを成長させていく過程には、大変ながらも文化祭の準備のような高揚感と達成感があります。

また、社内の様々な課題解決をクリエイティブの側面からサポートする一方で、「デザインやクリエイティブは、こうやって活用できるんだ」「こんな相談もしていいんだ」と社内のメンバーに知ってもらうことも大事なことかなと感じています。

「クリエイティブ」や「デザイン」って、良くも悪くも“聖域化”されやすい職種だと思うんですね。遠慮されて頼みづらい部署にはしたくないですし、気軽に声をかけてもらえるような風通しのいい「クリエイティブ」でい続けることが、実はブランディングを効果的に行っていく上で大切なことなのではと思ったりしてます。

といった感じで今回は、インハウスクリエイターとしてのやりがいや葛藤について書かせてもらいました。

次回は、「インハウスクリエイターの先輩に、インハウスの心得をいろいろ聞いてみた」というテーマを予定しています。

advertimes_endmark


古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)
古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)

広告プロダクション、外資系広告会社を経て、2023年にHENNGEのクリエイティブディレクターに就任。デザイン戦略やブランド構築を担当。同社のメインプロダクトであるHENNGE Oneのリブランディングや、ユーザーコミュニケーションを向上させるデザインプロジェクトを手がける。

古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)

広告プロダクション、外資系広告会社を経て、2023年にHENNGEのクリエイティブディレクターに就任。デザイン戦略やブランド構築を担当。同社のメインプロダクトであるHENNGE Oneのリブランディングや、ユーザーコミュニケーションを向上させるデザインプロジェクトを手がける。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ