直接取引の実現で「コーヒーの2050年問題」に挑むTYPICAのマーケティング戦略

生活者の意識・行動の変化が激しい時代。生活者の支持を得るブランドになるためには市場の動向に合わせてスピーディーな意思決定も必要です。こうした市場で顧客を増やし成長を遂げるスタートアップ企業では、どのようなマーケティング戦略が企画され、また実行されているのでしょうか。新興企業の戦略から新しいマーケティングの方法論を導き出します。今回は、TYPICA CEO 後藤将氏に話を聞きました。

※本記事は、月刊『宣伝会議』9月号の連載「急成長スタートアップ企業に聞く!『わが社のマーケティング戦略』」に掲載されています。

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後藤将氏

TYPICA
CEO

【TYPICA 会社概要】
・設立年:2020年8月
・従業員数:約30名
・事業内容:コーヒー生豆のオンラインマーケット事業

直接取引の実現で「2050年問題」に挑む

朝の眠気覚まし、仕事の合間にひと息つきたい時、家で映画を見ながら、さまざまな場面で人々に飲まれているコーヒー。そんな身近な産業において「コーヒーの2050年問題」という課題があるのを知っているだろうか。

気候変動などにより、コーヒーの中でも高品質でおいしいアラビカ種の栽培に適した土地が半減してしまうかもしれない、というものだ。しかも、コーヒー生豆の取引価格は先物市場の国際価格をベースに決定されるため、小規模生産者の収入は大量生産地域での収量見込みや投機に翻弄される。

こうした構造的な問題のせいで今も多くの生産者が貧困下にあり、経済的苦境を理由に離農するコーヒー生産者も増えている。

このような問題を解決し、美味しいコーヒーを継続して楽しむことができる未来を実現するために、コーヒー生産者とロースターを直接つなぐダイレクトトレードのプラットフォームを構築したのがTYPICAだ。

直接取引とすることで流通過程でのコストが減少し、生産者の収入アップにつながっている。実際に同社のプラットフォームを活用した生産者は、アラビカ種の国際相場と比べて平均2.2倍以上の収入を実現している。

また、デジタル管理により麻袋1袋という小ロットからの取引を実現し、小規模生産者にも活用しやすい。こうした仕組みが奏功し、プラットフォームの開設から4年間の流通総額の年平均成長率は262%と急成長を続け、創業から5年ほどにもかかわらず、現在は75カ国にネットワークを広げ、実際に57カ国で売買が実現。

日本発でグローバル市場に挑戦し成果を上げている稀有なスタートアップ企業として存在感を発揮し、数々のアワードも受賞している。

TYPICA Holdingsが提供するプラットフォーム。

長年マーケティングに携わったからこそ生まれた問題意識

同社の飛躍の裏には、どんなマーケティング施策があるのだろうか。マーケティング組織の役割について、TYPICAのCEOの後藤将氏は、「当社には、マーケティング専門組織はありません。自社のビジョンやミッション、ビジネスモデル自体がステークホルダー全体の願望と一致していれば、おのずとマーケティングの機能は果たされるはずだという考えからです」と話す。

これは、同社の設立前に10年以上デジタルマーケティング事業を行う企業も経営し、マーケティングに深く関わった後藤氏がその中で感じた問題意識に基づくものだという。

…この続きは8月1日発売の月刊『宣伝会議』9月号で読むことができます。

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