ミームは意図的につくれる? 韓国ミームから分析するミームの育て方➀

「韓国トレンド研究室」、3回目のコラムです!今回は「韓国のネットミームから学ぶミームの育て方」についてお話しします。

韓国は、日本に比べて「ミーム化」が起こりやすいのですが、その理由を分析することで「日本市場の場合はどのようにすればミーム化するのか」の方法について、研究してみたいと思います!

1.そもそも『ミーム( / インターネットミーム)』って??
2.韓国ミームから分析!ミームが育つ10箇条?
3.韓国ミームを分析!
4.まとめ

1.そもそも「ミーム( /インターネットミーム)」って??

「ネットミーム」とは、SNS、Webサイト、掲示板などを通して拡散され、多くの人が共通で認識している、言葉や画像・動画のことをさします。

最近の日本で言うと、雑に切り抜かれた猫の動画で会話劇をつくって投稿する「猫ミーム」、さらにわかりやすい例で言うと、宇宙の背景の手前に猫がコラージュされた「宇宙猫」などがミームにあたります。

2.韓国ミームから分析!ミームが育つ10箇条

イメージ ミームについてのスライド

①手が止まってしまうポイントづくり
元々ミームはWebサイト、掲示板など、インターネット上のあらゆる場所で発生するものですが、最近は拡散力が高い動画SNS(TikTok・YouTubeショート・ Instagramリール)をメインに、ミームが生まれることが多いです。

ショート動画は誰でも気軽にアップできるため、大量のコンテンツで溢れており、人々の視聴態度も「スキップが当たり前」になっています。そんな中でミーム化するためには、つい手を止めてしまうような「ポイント作り」が大事なようです!

②トレンド /時流
爆発的な拡散力が増える要素として、トレンドや時流にあったコンテンツになっていることも大事です。ミームは、徐々に徐々に浸透していくというよりは、突然ポッと火がついて数日レベルで浸透していく構造のため、その時の世の中のトレンドを上手く捉えていると、勢いが加速するようです。

③3つのスピード(理解のスピード・覚えるスピード・真似するスピード)
一般ユーザーは娯楽としてSNSを使用しています。そのSNS内で、カロリーの高いことをわざわざしようとは思えません。

・理解するのに頭を使わなくていい簡単な意味のものであること。
・一度聞いただけで覚えてしまうような耳残りのいいものであること。
・簡単に使いやすいセリフや簡単に覚えられる振り付け・歌、また自分が真似して撮影する時に場所を選ばず、家などでもすぐに撮れるような簡単なものなど、“真似するのが簡単”であること。

この3つの“スピード”が速いことも重要です。

④アレンジの余白を残したシンプルさ
多くのユーザーは、視聴数やいいね数を獲得したいという欲求でミームに便乗しているため、ミームが爆発的に流行ってくると、「他と差別化したい」という新しい欲求が生まれます。その際に、アレンジしやすいようなシンプルなものになっていると、失速せずにミームが拡散され続けるように感じています。

⑤言い訳になってくれる
SNSに自身が映っている画像や動画を公開する人々のインサイトとして、「(画像や動画を)アップしたいけどアップしたくない」という感情があると思います。

承認欲求的な理由でSNSにあげたいとは思う。けれど人からどう思われるかも気になる。そんな時にミームは、「流行っているから」「このミームを真似したいから」と、自分の画像や動画をアップする言い訳になってくれます。

⑥骨太インサイト
「ミームは一気に広まる構造なのでトレンドや時流を捉えていることが大事」と先述しましたが、だからと言って根源的な骨太インサイトが不要というわけではなさそうです。

例えば、「動物・赤ちゃんに人間は弱い」などが骨太インサイトのわかりやすい例ですが、こういった「時代に関係ない骨太なインサイト」をついていると、拡散が加速していくようです。

⑦ネットに留まらない“日常使い”のしやすさ
基本的にネットミームはネット上で広まっていくものではありますが、やっぱり日常会話に組み込みやすい言葉など、リアルの場でも使われやすいと定着が早くなりますし、単純に拡散場所がオフラインとオンラインの2軸になるため、一層ミーム化しやすい傾向にあると思います。

⑧ネーミング
ネーミングには2つのパターンがあると思います。

ひとつ目は、「流行っている事象」があった時に、ネーミングすることでそれがミームになるパターン。
ミームではないですが、例えば、夜のコンビニ、フィルムカメラetc…が流行った時に、それらに「エモい」という言葉をつけることで、世の中で広く流行りました。すでに人気だけど名前がついていない事象に名前をつけることで、人々がより取り上げやすくなります。

2つ目は、ミーム自体をネーミングするパターンです。例えば音源やダンスがミームになった時、それに名前が付くことで認知が一層深まります。「知っている」の解像度が、名前ひとつで大きく変わってきます。

⑨元ネタがある
例えば、スポーツ選手のインタビューでの発言、アイドルがバラエティ番組で放った言葉、ニュースキャスターの言葉などが元になって流行ったフレーズや、それらを元にしてつくられた音源などがありますが、こういった元ネタがあるほうがミーム化しやすい傾向にある気がします。

(理解のスピードが早くなるのと、人に説明しやすくなることなどが理由としてあげられそう)

⑩流行に拍車をかけるアイドルの力
これは飛び道具的かつ計算しきれるものではないのですが、やっぱりアイドルがその音源を使ったり、言葉を使ったりすると、一気にリーチが広まります。もちろん計算できるものではないですし、本質的ではないのですが、やはり絶大な拡散力があるので、一応頭の片隅に入れておいたほうがよいかなと思います。

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佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)
佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)

大学時代、フリーのイラストレーターとして活動。過去に制作した展示は、「どっちかといえばこっち展」「いい人すぎるよ展」「やだなー展」「みんなどんな感じ?展」「いい人すぎるよ美術館&切ないすぎるよ博物館」「うれしいすぎるよ展&そういうことじゃないんだよ展」など。展示ではイラストも担当している。著書に「いい人すぎるよ図鑑」。

佐々木日菜(kakeru プランナー/イラストレーター)

大学時代、フリーのイラストレーターとして活動。過去に制作した展示は、「どっちかといえばこっち展」「いい人すぎるよ展」「やだなー展」「みんなどんな感じ?展」「いい人すぎるよ美術館&切ないすぎるよ博物館」「うれしいすぎるよ展&そういうことじゃないんだよ展」など。展示ではイラストも担当している。著書に「いい人すぎるよ図鑑」。

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