「マスク」がヒットの追い風に ヒロインメイク マスカラリムーバー

老舗化粧品会社の伊勢半が製造・販売しているアイメイクブランド「ヒロインメイク」。高い耐久力とカールキープ力が強みのマスカラを擁するブランドシリーズから、2006年に発売されたのが「マスカラリムーバー」。発売17年で累計出荷数1000万本を達成したが、2023年9月からの約半年で1200万本を超える急成長を果たした。その背景にあったのは、多くの化粧品会社が打撃を受けるきっかけになった「コロナ禍」にあったという。

■商品DATA
商品名:ヒロインメイク スピーディーマスカラリムーバー
希望小売価格:840円(税抜)
主な販路:ドラッグストア、バラエティストア、化粧品専門店

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橋本幸太氏

伊勢半
営業本部 営業戦略部

2016年入社。広域営業部にてドラッグストアや量販店の本部営業を担当したのち、2021年営業戦略部へ異動。2022年より「ヒロインメイク」担当として同ブランドのマーケティングや販売戦略立案に携わっている。

プロダクト起点で生まれた「ヒロインメイク」ブランド

━━ヒロインメイクは2025年で発売20周年を迎えると聞きました。どんなブランドなのか、改めて教えてください。

ヒロインメイクは2005年に発売したアイメイクブランドです。展開している商品はマスカラやアイライナーがメイン。高い耐久力やカールキープ力といった機能的な価値が特徴です。今は「ヒロインメイク」という1つのブランドとして世に展開していますが、商品の開発当初は既存ブランドから発売するという議論もあったと聞いています。

というのも、ヒロインメイクは、「新たなブランドを立ち上げる」というプロジェクトありきではなく、伊勢半社内で「耐久性の高いマスカラが完成した」というプロダクト起点で始まったブランド。これまでのアイメイクカテゴリーには存在しないような機能性抜群のマスカラを、どのような形で市場に届けるかは、慎重に議論したと聞いています。

そんな議論もあった中で、満を持して新しい「ヒロインメイク」ブランドとして展開するというプロジェクトで走り出すことになるのですが、ブランドコンセプトを考えていく中でキーワードになったのが、「ヒロイン」という言葉。このマスカラの強みを映画や漫画の「ヒロイン」のように印象的な目元になれることだと定義づけ、その強みが伝わるコンセプトでプロモーションやパッケージ、販促物などをこれまでも制作してきています。

とくにパッケージは、発売当初からブランドキャラクターである「エリザベート・姫子」のイラストを記載しています。コスメのパッケージにオリジナルキャラクターがプリントされるのは、それまでもあまりなかったことですし、ユーザーの目には新鮮でインパクトがあるように映ったようです。

定番の什器。ヒロインメイクシリーズ売り場で展開されている定番の什器。写真内、最も左にあるのが、ヒロインメイク スピーディーマスカラリムーバー。

こうした遊び心で印象的な目元に仕上がることを訴求し続けているようなブランドこそ、ヒロインメイクなのです。

マスカラ専用メイク落とし「マスカラリムーバー」が生まれたのは、ヒロインメイクが誕生したその翌年の2006年です。こちらも長い歴史がある商品となっています。

マスカラリムーバーとは、マスカラを塗るようにコーム型のブラシでまつ毛に液を塗り、ウォータープルーフマスカラも簡単に落とすことができる商品です。全顔用のクレンジングで落とした後のメイク残り感やゴシゴシ洗顔による目もとへの負担も軽減できるとして、コロナ禍以降、注目を集めています。

認知が浅い商品をどう店頭に置いてもらうか

━━発売当初は「マスカラリムーバー」という存在自体を広く伝えることが必要になったと思います。どのようなプロモーションに注力したのでしょうか。

アイメイク、とくにマスカラに特化したメイク落としは市場でも珍しく、ユーザーからの認知もほぼない状況。一部、百貨店などで展開されているブランドからは発売されていましたが、伊勢半のようなセルフメイクブランドにおいては他社もまだ販売していませんでした。ユーザーも美容への感度が高い方に限られているような状況でしたね。

さらに、発売した2006年は現在のようにSNSが発達していなかった時代です。一気に爆発的な認知拡大を見込むことは難しかったと言えます。そのような背景を鑑みても、マスカラリムーバーは「売れている」と言い難かった時間が長く続いたのも事実です。

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