そこで注力していたのが店頭販促。とくにトライアルを喚起するために、売り場提案を地道に行っていました。ですが流通先の方々にとっては、市場で十分に定着していない、売れる証明もない商品を簡単に売り場へ展開するわけにはいきませんよね。
でも伊勢半には、ヒロインメイクの主力商品であったウォータープルーフマスカラがありました。皆さまからの認知が比較的取れているマスカラの横に並べてもらうことで、コツコツと売り場への露出を図っていきました。
前に述べた通り、ヒロインメイクのマスカラはカールキープ力が非常に高いことが支持されているので、店頭では、それを綺麗に落とすためにマスカラリムーバーが必要であることを伝えられるように努めました。
例えば、店頭のPOPで「まつげをくるんのあとはリムーバーでするん」といったコピーを添えてみるとか。ヒロインメイクらしい遊び心のある販促物を店頭に設置したりすることで、ヒロインメイクというブランド全体で存在感を出せるような売り場を提案していきました。
マスカラリムーバー単体を訴求するPOP。「するんっ!」や「すご落ち!」という言葉で落ちやすさを表現。
マスカラリムーバーの機能には確固たる自信があったので、一度試してもらえればリピート購入していただけるのではないかと思っていました。要はトライアルをいかに獲得できるかどうかが、商品成長の肝だったのです。
コロナ禍がヒットの要因? 追い風になったマスク着用
━━このマスカラリムーバーがコロナ禍以降、かなり好調だとお聞きしました。ヒットの要因は何だとお考えでしょうか。
2006年発売のマスカラリムーバーですが、2023年9月時点で累計出荷数が1000万本を超えました。しかし、その半年後の2024年3月には1200万本を突破したのです。17年間で1000万本なので、半年で200万本増えるというのは、これまでを考慮しても驚異的な数字と言えます。当社としても、これは予想外の伸長ではありました。
このようなヒットに繋がった要因は大きく2つだと考えています。1つが、2017年に行った商品リニューアルです――――。
――続きは、月刊『販促会議』2024年8月号にてお読みいただけます。