大手企業からローンチされたD2Cブランドから、個人クリエイターが展開するD2Cブランドまで、規模の大小を問わず出品の様子を見てきたマクアケ。これまでさまざまなブランドを俯瞰してきた中で、アフターコロナでも堅調な業績を残しているD2Cブランドは、共通して2つの道を選んでいたのではないか、と同社でセールスを統括する武田康平氏は分析する。その2つの道とは、何だったのか。
※本記事では、月刊『販促会議』9月号特集「D2Cブランドが生き残る条件とは?」に掲載されているものを、全文公開します。
コロナ禍にD2Cブランドが急増した理由
大手企業のブランドから、クリエイター個人が運営するブランドまで、あらゆる事業者が出品するECプラットフォームを運営するマクアケでも、コロナ禍でD2Cブランドの出品は急増。当時は特に小規模な事業者による出品が相次いだという。
同社の営業局長として、出品窓口の統括を担当している武田康平氏によると、コロナ禍ではD2Cブランドに限らず、商品流通がオンラインを軸にせざるを得なくなったことが、出品ブランド急増の背景だったのではないかと話す。
「コロナ禍はあらゆるブランドがオンラインでの販売を余儀なくされた頃でしたよね。それまでは大きな伸びを見せなかったEC化率も10%近くにまで成長しましたし、オンラインでの販売は大きく加速したと言えると思います。現にマクアケでも、その頃に出品ブランド数が増えた印象がありました。
D2Cブランドだけに絞ると、コロナ禍当時に増えたのは小規模なブランド。商材で言うと、とくにお酒や食品が多かった印象です。これは食品流通の在り方や構造の変化が関係していると思っています。要は、外食機会の減少です。これまでお店を介して体験してもらっていたブランドは、それが難しくなり、消費者に直接届けることを図り始めた時期だったと考えると、当然の動きだったと思います」(武田氏)。
D2Cブランドが直面したCPAの限界と自社ECの低迷
コロナ禍から現在のアフターコロナに至るまで、プラットフォーマーとしてあらゆるブランドを俯瞰してきたマクアケだが、とりわけD2Cブランドを取り巻く環境の変遷はどのように捉えているのか。
現在のD2Cブランドを俯瞰するために武田氏が挙げたのは、「デジタル広告の顧客獲得単価(CPA)」と「自社ECの市場規模の変化」の大きく2つだ。