「最近見かけない」は戦略的かも 生き残るD2Cブランドが選んだ2つの道

もし自社ECの流通総額や市場規模が低下しているのであれば、自社独自のオンライン販売チャネルだけでは、成長が鈍くなる可能性があるということ。先ほど述べた“CPAの限界”と通ずるところがあるような気がしています」(武田氏)。

「販路拡大か、絞るか」明暗を分けた2つの道

このような環境の中で、今もなお好調に推移しているD2Cブランドは多く存在している。武田氏がそれらブランドにおける成功の共通点として挙げたのは「大手流通との協業」と「戦略的なプロモーションコスト削減」。どちらかの作戦をとったD2Cブランドは、アフターコロナでも堅調に生き残っているのではないかと続ける。

「先ほども述べましたが、オンライン上にいる生活者の量が減少したこと。そして必ずしもオンラインで商品を買う必要がなくなったことを考えると、D2Cブランドもオンラインに留まっておく必要はなくなったと言えます。コンビニ各社などとコラボしたり、直営店を始めたり、顧客接点をオフラインに拡張したブランドは、勢いがあるように見えますよね。いわば大手流通という“大船”に乗ることで、商品のデリバリーを強化できている例だと思います」(武田氏)。

もう1つの「戦略的なコスト削減」とは、大々的な成長をゴールとせず、届けるべき人に確実に届けることで事業を継続させることを目標とする企業がとる作戦だと武田氏。むやみやたらに販路や接点を開拓していくのではなく、あえて絞ることによって利益拡大を図っているD2Cブランドも増えている印象だという。

「昨今は『あのD2Cブランドの話、聞かなくなったな』という所感を持つ人もいるのではないでしょうか。しかし、そのようなブランドが必ずしも業績が落ちている印象があるかというと、そうではないです。プロモーションに予算を割かずに、別のところにコストを割くことで堅調に継続しているブランドもあります。

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