デロイト トーマツ、国内上場企業のサステナビリティ開示の概況分析を発表

【人的資本】「男女間賃金差異」が大きいのは銀行

人的資本に関しては、多様性に関する3つの代表的指標(男女間賃金差異/男性育児休業取得率/女性管理職比率)について開示されている実績値を調査した。

男女間賃金差異は70〜75%付近をピークとした山型の分布が示されたのに対し、男性育児休業取得率は0%付近と100%付近にそれぞれピークが存在する分布がみられ、企業によって男性育児休業の取得状況が両極化している状況が分かった。

女性管理職比率に関しては0〜5%付近にピークが存在し、管理職や役員などに向けた人材育成には時間を要すること等から、多くの企業で女性管理職の育成や登用が途上にある可能性が推測された。

図 女性管理職比率における実績値の分布(2024年決算)

図 女性管理職比率における実績値の分布(2024年決算)

また、多様性に関する3指標について業種別の平均値をみると、「男女間賃金差異」では特に銀行において男女間賃金差異が大きいことが分かった。銀行においては総合職と一般職を統合するなどの動きも出てきているものの、現時点ではこれまで実施してきた職種分けなどの影響もあり、大きな賃金差が生じていると考えられる。

「男性育児休業取得率」においては業種間のばらつきが大きく、「育児休業取得率」に関する指標では、男女間賃金差異の指標と異なり、銀行が最も高い値を示しており、指標ごとに高い値を示す業種に違いがあることも示されている。

図 男性労働者の育児休業の取得率に関する業種別の実績値の比較(2024年決算)

図 男性労働者の育児休業の取得率に関する業種別の実績値の比較(2024年決算)

「女性管理職比率」に関しては、特に金融や情報通信サービスその他などが高い値を示しており、女性社員の比率が高い業種において女性管理職比率も高い傾向が見られた。

独自性のある指標、「健康・安全」の分野で多様化

調査では独自性のある指標の開示にも注目。各企業がどのような指標を記載しているのか、指標に含まれる語句の傾向を分析した。

多様性に関しては前述の3つの指標(男女間賃金差異/男性育児休業取得率/女性管理職比率)に関連する語句が大半を占めているが、それ以外では「外国」や「障がい」といったキーワードも見られた。また、「健康・安全」に関しては多様な指標が抽出されており、「健康診断受診率」、「ストレス」、「特定保健指導」、「災害」などの観点が含まれていることが分かった。

特に、健康診断の受診率とストレスチェックに関連するキーワードが目立ち、多くの企業が身体的健康と精神的健康の両面の観点から健康経営に取り組んでいることがうかがえた。

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