付加価値のつくり方とは? 付加価値をつくれれば、効率よく利益を生み出せる

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付加価値とは、読んで字のごとく「価値を付け加えること」です。ビジネスシーンにおける付加価値は、自社の商品やサービスに独自の機能などを付け加え、同等の他社商品・サービス以上のモノを提供することを指すことが多いのではないでしょうか。

ですが、高収益企業キーエンス出身の田尻望氏は「ニーズを超えた機能は『価値』ではなく『ムダ』」だと断言します。では、付加価値とは何なのでしょうか。付加価値は、個人のセンスや能力ではなく、組織ぐるみの仕組みによってつくることができるものと田尻氏は話します。この記事では、付加価値とは何なのか、そしてそのつくり方の具体的な手法を解説する動画をご紹介します。

付加価値とは?顧客の役に立つことが利益に

ムダな仕事を減らし、売上や利益を効率よく増やしていくことは、ビジネスパーソン共通の課題です。しかし「頑張っていれば、利益は自然と付いてくる」わけではありません。正確には「付加価値を提供できていれば、利益は自然と付いてくる」。だからこそ付加価値の概念やつくり方を学ぶ必要があり、それを現場に落とし込む必要があります。

付加価値の戦略とは「あなたの役に立ちますよ」戦略です。一方、差別化戦略とは「他社とは違いますよ」戦略です。利益を生むためには、その両方を実行する必要があります。なぜなら「役に立つ」だけでは他社でも提供することができ、「他社とは違う」だけではその機能を必要としないお客様は購入に至らないからです。トップセールスやトップマーケターであれば当たり前のことを、商品企画者からマーケティング、営業の一人ひとりにまで一気通貫できていなければなりません。

イメージ 付加価値とは何か?についてのスライド

「売上だけ上げたいのであれば、鉄を1億で買って1億で売ればいいでしょう。そうすれば売上は1億です。しかし、そこには価値もなければ利益もありません。その時、そこで働く人の命の時間は何のために使われたのか。価値ゼロのためですか、違うでしょう。我々がビジネスにおいてするべきことは、仕入れたものに対して付加価値をつくり上げ、お客様に買ってもらって役に立つ。この仕入れとの差分こそが、私達が命の時間を使ってつくり上げるものでしょう。それが付加価値です」

これは、田尻氏が感銘を受けたというキーエンス創業者の言葉です。付加価値を高めることは私達の命の時間の価値を高めることであり、顧客の役に立つことこそが利益の源泉であり、付加価値であるということ、その考え方が会社全体に浸透していることが、付加価値を生むための第一歩であると言えるでしょう。

付加価値をつくる構造をつくれば再現できる

付加価値をつくることは、再現可能なのでしょうか。実は、それは構造によって再現可能です。私達の行動は自らが選んだのではなく、そこにある構造によって選ばされているものだと、田尻氏は話します。そして、行動が変わると成果が変わることは言わずもがなでしょう。つまり、構造が成果をつくることも可能であるということです。ある構造の中に入るとその構造に沿って成果をつくり出す――そんな構造を生み出すことができれば、組織ぐるみで成果をつくることが実現できるのです。

イメージ 付加価値を創る構造を創れば再現できる

例えば、しっかりとつくり込まれたプレゼンテーション資料があるとします。その資料に沿って説明すれば、顧客に価値が伝わる内容になっていればどうでしょうか。どんな営業マンも顧客に価値を伝えることができます。これが、構造によって組織ぐるみで成果を生み出すことができるということです。

付加価値は顧客ニーズのどこにあるのか

成果を出している企業では、顧客のニーズを超えたものは「ムダ」として扱います。例えば開発者などが「あったら使うんじゃないか」と予測しただけのものは、使われないことが多いからです。価値とは、お客様の期待である「顕在ニーズ」を叶えること。これが1つ目です。

しかし最も大切な価値とは、顧客ニーズの裏のニーズ「潜在ニーズ」にあります。その理由は、顕在ニーズは検索することができますが、潜在ニーズは検索することができないからです。他社や顧客すらも気づいていないニーズにいち早く気づき、解決することのできる商品をリリースすることができれば、価値が生まれます。さらに他社が気づいていないため、差別化もしやすいと言えるでしょう。

また、先述した「ムダ」はコストに上乗せされます。どれだけ付加価値を高めても、ムダを生んでいれば利益を減らしてしまいます。付加価値を考える時は、同時にどれだけムダを削減できるかについても考慮することが必要です。

ニーズ探索に終わりはない

イメージ ニーズ探索2つの方法

付加価値をつくるためには、潜在ニーズを見つけることが重要です。では、そのニーズはどうやって探せばよいのでしょうか。それは、コンサルティングセールスという考え方が根底にあると田尻氏は話します。コンサルティングセールスとは、お客様を成功に導こうとするひたむきな姿勢を基礎とし、お客様に最適な意思決定をしていただくためのサポートをすること。つまりお客様が最適な意思決定をすることが目的であり、売ることが目的ではありません。

最適な意思決定の延長線上に自社の商品を購入しているのであり、購入されなかった場合はニーズを叶える状態ではないと解釈します。そこに学びがあるため、ニーズを叶えようと商品を進化させることができるのです。この考え方は営業ののみならず、マーケティング、商品開発まで会社全体で持っていることが重要です。

また、ニーズ探索にはプロービング(徹底的なヒアリング)も必要です。プロービングとは、ニーズについて明確に、完全に、認識のズレなく理解しているということ。もっと具体的に言うと、顧客のニーズ一つひとつについて具体的になぜそれが重要かがわかっていること、すべてのニーズとその優先順位がわかっていること、顧客がイメージするニーズと全く同じ絵をセールスが描けるということです。こうしてみると、ニーズ探索に終わりがないということがわかるのではないでしょうか。

イメージ ニーズ探索2つの方法

付加価値を顧客に伝えるためには

付加価値を顧客へ伝えることができれば、価格に転嫁していくことができます。そのためには価値情報を顧客へ提供する必要がありますが、その際には伝える側が、特長と利点の違いをしっかりと理解しておかなくてはなりません。

特長と利点の違いは、その主語が違うということに気づくとわかりやすくなります。例えば「このスマホには、迷惑メールのブロックサービスや特定サイトのフィルタリング機能があります」は特長です。一方「このスマホは、お子様も安心して使うことができます」は利点です。一つ目の主語は商品側、2つ目の主語はお客様です。提供する商品・サービスによって顧客のビジネス・暮らしがどのように変わるのか、話し方を変えるだけでその付加価値を顧客に伝えることができるのです。

また、利点は相手によって変わります。商品の機能と特長を理解することが商品理解ではなく、その特長が誰のどんな問題を解決し、どんな利点と価値を持つのかまで理解する必要があります。

価値を価格へ転嫁する方法

イメージ 付加価値を価格へ転嫁する4つの方法

新商品をリリースする時や価格改定を行うとき、最初にやらなければならないのは全営業担当者に価格納得性を持ってもらうことです。そのためにまず「価格は変わる」ということを知っておく必要があります。変動要因は「誰が、いつ、どこで、何を、何のために、どのように使うか」。そして価格決定には、付加価値ベースでの考え方と、コストベースの考え方があります。

コストベースの価格決定は製品のコストに利益分を上乗せして決定する方法です。付加価値ベースの考え方は、顧客の得る価値が何か、ということを考えることから始まります。提供する商品・サービスによって顧客が得る価値が、販売価格を大きく上回ることができるなら、そしてそれをきちんと伝えることができるなら、販売価格が高額になっても購入に至ります。

例として、ある管理職研修の販売価格が2000万円で販売されたと田尻氏は紹介します。月に1回、期間は半年、1回6時間、コンサルタントは1人、内容はワークライフバランスについて。これだけの情報では、2000万円で購入されたことをとても信じられないでしょう。

ですが、「この管理職研修によって成果を下げることなく、残業代4億円を削減できます」と聞いたらどうでしょうか。価値が価格を圧倒的に上回り、購入に至ることも納得できるでしょう。商談の中で具体的にどのように価値を伝えるか、BtoCの場合はどうなるかなど、詳細は記事の最後でご紹介する講座で解説されています。

イメージ 付加価値を価格へ転嫁する4つの方法

世の中のニーズに対応すると価値が生まれる

コロナ禍により、世間のニーズは大きく変化しました。これまでと同様のニーズを追うことは、レッドオーシャンに飛び込むことと同意です。飛び込むべきは、新しくできたニーズ。どこよりも早く顧客の潜在ニーズを現場レベルでキャッチして、叶えることができればV字回復ならぬ✓(チェック)字回復が可能となるでしょう。世の中に大きな変化が起こった時は、潜在ニーズをキャッチするチャンスだと捉え、組織全体で付加価値をつくっていくことが重要です。付加価値のつくり方について、詳しい内容は下記の講座で解説されていますので、ぜひ受講してみてください。

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