PRやクリエイティブの出口も、結局「ごみ」問題と密接なのだ
日本で売れたから、海外でも売ってみよう!というのはよくあること。カルチャーや生活様式が異なるので、そのあたりの調整はもちろん必要ですが、環境問題に日本よりも興味関心を持つ人が多い傾向にある海外では、その商品そのもの原材料、パッケージの仕様がとても重要です。
そして、出口、すなわち「ごみ」の処理方法が異なると、企画段階における、素材選びや設計がまったく異なります。
先に紹介した「Biodegrable」のように、パッケージに入れる表現やコピーワークも然り。ゆえに、PRやクリエイティブに関わる人にとっても、この「ごみ」の話は、見逃せない、そう思い、今回は「ごみ」の話をテーマにしてみました。
「ごみ」は言葉の持つ力を考えるきっかけにもなる。
最後にちょっとしたエピソードを。これは私がポートランドに来た頃の話です。場所が変わるとごみ捨ての仕方は、大きく変わります。それを掴むまで「このごみはどうやって捨てたらいいの?」と周囲に聞く機会がたくさんありました。
そのたびに、なぜかコミュニケーションがちぐはぐなのです。「ごみ(garbage)の分別の仕方を教えてもらえますか?」というと、あぁ、それならあのボックスに全部入れて、と言われるのです。
え!缶も?紙も?リサイクルのない国なのか!?いやそんなはずはない、どういうことなんだろう…と。
日本で生まれ育った私は、すべて、ごみステーションに持っていって、その中に缶もあれば新聞紙も、衣類の分別スペースも存在しているのが常識でした。ゆえに、リサイクルごみ、紙ごみ、燃えないごみ、燃えるごみ、という風に理解してごみの中で分別しています。
が、ポートランドでは、ごみ(garbage)と呼ばれるのは埋め立てるものだけ。それ以外の缶やビン、紙、生ごみは、「リサイクル」「コンポスト」と呼ばれて回収されています(※1)。つまり、gargbageはどこ?といえば、まとめて捨ててOKなわけです。
(ちなみに、この2024年には日本でも、リサイクルにごみはつかない自治体が増えていますので、あくまで私が出国した2019年時点の話です)
さらに、私はポートランドで、生ごみの回収ボックスが「compost」と呼ばれるところがちょっと気に入っています。
日本で「コンポスト」といえば、生ごみを処理する方法のひとつとして、その容器だったり仕組みだったりを指すかと思いますが、compostを正確に訳すと「堆肥」となります。生ごみを入れる箱に「compost(堆肥)」と書かれているのはちょっと素敵じゃないか、と思っています。
日本でも、家庭にコンポストを導入したときに「コンポスト(生ごみ処理)を始めました」と言うのではなく「堆肥づくりをはじめました」と言うのはどうかな?と先日友人に話しました。処理だと終わりの話だけど、堆肥づくりといえば生み出すクリエイティブな話になるから、ちょっとワクワクするものにならないかな?と。
ごみ、廃棄物、と聞くと、汚いもの、家から出したいもの、避けたいもの、とネガティブなイメージを持つものだからこそ、「言葉」の持つ力を考えるには、うってつけでもあると思うのです。
※1 私の住むポートランドは、市が、各家庭から個別回収の形で、生ごみを回収し、堆肥化をしています。
https://www.portland.gov/bps/garbage-recycling