博報堂の「博報堂SXプロフェッショナルズ(旧 博報堂SDGsプロジェクト)」は8月23日、5回目となる「生活者のサステナブル購買行動調査2024」の結果を発表した。
「博報堂SXプロフェッショナルズ」は、企業のビジネスイノベーションを支援する全社的プロジェクトとして2019年に活動をスタート。2024年度から前身の「博報堂SDGsプロジェクト」から名称を変更していた。
今回で5回目となった「生活者のサステナブル購買行動調査2024」の結果、「SDGs」の認知率・知名率はともに昨年から減少。さらに、買い物の際の社会購買実践度も昨年より減少したとわかった。
しかし一方で、社会行動実践度は上昇。過去最高値を記録したという。とくに10代(16~19歳)と70代は社会購買・社会行動実践度がともに高く、サステナブル意識が高いものの、10代の過半数は“エコ疲れ”も感じていることも明らかになった。
詳細な調査結果は以下の通り。
「SDGs」の認知率・知名率について
「SDGs」について「内容を知っている(よく知っている+ある程度は知っている)」を合わせた認知率(①+②)は51.7%で、昨年の55.7%から4ポイント減少。また「内容は知らないが名前を聞いたことがある」まで含めた知名率も80.7%となり、昨年の83.3%から2.6ポイント減少した。
年代別では、認知率は10代(16~19歳)が74.4%で最も高く、全体と22.7ポイントの差。特に「内容までよく知っている」と回答した人が3割にのぼり、博報堂は学校の授業などで学んだ成果がうかがえると分析している。一方、知名率では70代が87.3%で最も高くなった。
また、「SDGs」における17の目標それぞれについてどの程度関心があるかきいたところ、「14. 海の豊かさを守ろう」が61.2%でトップ。次いで「3. すべての人に健康と福祉を」(60.7%)、「7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに」(60.1%)、「15. 陸の豊かさも守ろう」(59.9%)が続いた。
昨年と一昨年の調査では「3. すべての人に健康と福祉を」がトップだったが、コロナ禍を経て、本年はスコアが減少。引き続き、海や陸の豊かさといった生物多様性や、クリーンエネルギーに関連する目標への関心が高いことも明らかになった。
社会購買実践度は昨年から微減も、社会行動実践度は過去最高値に
買い物の際に社会・環境に与える影響をどの程度意識しているかを聞いた「社会購買実践度」は、平均値が5.12点(10点満点)。過去最高値をマークした昨年の5.15点から微減に転じた。
一方、社会・環境のためになる行動をどの程度行っているかを聞く「社会行動実践度」では、昨年の5.15点から5.28点に上昇。物価高などの影響で、買い物を通じてよりも、日々の行動の中で社会・環境のためになることをしようとする人が増えたと推察している。
サステナブルな購買行動「“売上の一部が寄付される商品”は買いたい」
上位は過去調査と変わらず、「ミニマル(最小限)」「ロングライフ(長期的)」「サーキュラー(循環)」に関する項目があがった。これまでと異なったのは、「売上の一部が環境や社会のために寄付される商品を買う」の回答率。昨年から3ポイント上昇し4割超に。10~20代ではおよそ5割にのぼった。
回答率が伸びた「売上の一部が環境や社会のために寄付される商品を買う」は、10代(16~19歳)と70代が比較的高めの傾向。若年層で「不要になったがまだ使えるものは人にあげたり売ったりする」「新品を買わずに中古品を買う」「新品を買わずに借りたりシェアしたりする」といった「サーキュラー」や「シェア」に関する行動が高い点も昨年から変わらないが、特に10代でその数値が高く、いずれも全体から10ポイント以上の差が開いた。
先述の社会購買実践度・社会行動実践度の平均値を年代別にみると、10代と70代で高め。一方で、10代の過半数が「社会や環境問題に取り組むことに疲れを感じる」と回答しており、“エコ疲れ”を感じている様子もうかがえた。