0から1を生み出すだけがマーケターのスタイルではない!
マーケティングに関わる仕事は、事業会社に広告会社、コンサルティング会社など、多種多様な場に存在しています。私自身は、32年にわたりマーケティングの仕事に携わってきましたが、所属する「場」は、常に変わっています。ちなみに、いまはアクセンチュア ソングに在籍しています。
マーケティングはカバーする領域は多岐にわたりながら、かつ専門性が求められる職種です。さらに近年では、カバーする領域の広さと深さがこれまでにないスピードで変化しているといえるでしょう。
この連載では、私自身のマーケターとしての歩みを振り返りながら、少しでも読者の皆さんのお役に立てる情報をお届けできればと考えています。とはいえ、私の経歴も決して順風満帆ではありませんでした。紆余曲折があり、「また、同じことを繰り返したいか?」と問われたら、そうは思えないのが実際のところです。逆に過去に「ああしていればよかった」と思うことは多々あります。
ただ、皆さんにとってヒントをご提供できるとすれば、それは私が20代のうちに「マーケターとしての自分のキャリアのゴール」を明確に描いたことがあります。20代後半を過ごしたMBA留学の2年目に、マーケターとしての自分のキャリアのゴールとそのプロセスを考え、そこを目指して、自分のすべきことはある程度できたと考えています。
私の過去の話をさせていただくことで、読者の皆さまがマーケターとしてのキャリアを戦略的に構築するためのヒントになればと思い、今回から4回にわたり紹介していきます。
多岐にわたるマーケティングの領域の中でも、人それぞれ好き嫌いや得意不得意があります。あるブランドの独自性や優位性を短期的あるいは中期的に維持拡大するために、どのような専門性が継続的に必要かを常に意識すること。そしてその領域において意識的な学習と仕事での経験を重ねていくことで、自分が納得できるキャリアを形成できるのではないでしょうか。
かくいう私の場合には、真の意味での“0から1”を生み出せるような人間ではなく、すでにあるゲームの中での成功を目指す(その市場におけるゲーム領域やルールの変更程度はします)スタイルを得意とするマーケターです。マーケターというと発想力にあふれるクリエイタータイプの人が向いていると思われる方もいるかもしれませんが、私のようなタイプに合う仕事もありますし、キャリアを重ねていくことができました。