語学力の不安も戦略勝ちで乗り切る? 大学卒業後に外資系広告代理店でキャリアをスタート!

飛び込みで広告代理店に直接履歴書を持ち込み、面接に進む

ある夜、友人たちが広告代理店志望だと知り、「何だ、その業態は?」と思い、調べてみると、あらゆる業種のマーケティング・コミュニケーションを経験できる、私にとっての「理想の会社」であることがわかりました。さっそく数社の広告代理店に直接履歴書を持って行きました。それは当時、一般的だった、会社に資料請求のはがきを出し、説明会に行き、面接に進むというプロセスを完全に無視したもので、資料請求のはがきは一枚も出すことはありませんでした。

「人気業種である広告代理店を最初から志望せず、飛び込みで履歴書を持ってくるとはどういうことか」などと多少嫌味を言われたこともありましたが、結局1社も断られませんでした。バブル破綻直後の当時は寛容な時代だったのでしょう。

その過程で、自分がMBAに行きたかったことやグローバルに活躍するマーケター(当時は何となく格好良いと思った程度で正確に意味は分かっていませんでした)になりたかったことを思い出しました。MBAに行く一番の近道だと考えたのは外資系広告代理店の電通ヤング・アンド・ルビカム(電通Y&R)への入社でした。電通Y&Rはニューヨークのトップエージェンシーでしたので、入社後アメリカのMBAに行けばキャリアに有利に働くだろうと一生懸命に準備しました。

体育会+ゴルフ+英語の複合スキルを持つ稀有人材と“優良誤認”!?

電通Y&Rの入社にはTOEICの受験が必須で、イギリス人の副社長との英語面接もありました。英語が苦手な自分が大事な一歩であるこの会社の面接をパスするにはどうするべきか、いかに独自性を構築できるのか考えました。

その当時、マーケティングの勉強など全くしていなかったのですが、あとで考えると「STP(エスティーピー)分析」を考え実践したのだと思いました。STP分析はご存知の通り、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の3種類の英単語の頭文字から名付けられた分析方法で、マーケティングの代表的なフレームワークのひとつとされています。

私はそのときゴルフ部の副主将と会計責任者を兼務していたのですが、バブル期のオーディエンス(面接官)はゴルフ好きであろうと想像し、広告パーソンをゴルフプレイヤーに置き換えて考え、クライアントの広告戦略構築などの話をしました。

おそらく面接官は私を英語ができると勘違いし、体育会+ゴルフ+英語という稀有なスキルの組み合わせを持つ就活生として見ていたと思います(その優良誤認を狙っていたのも事実です)。

面接プロセスを順調にパスしていき、TOEICと英語面接という最大の難関に立ち向かいました。英語面接は、レジュメにある内容から海外の方が気になりそうな題材を2個程度選び、その答えを準備して完全に暗記していったので対応できました。TOEICはあまりできませんでしたが、体育会で培った根性で「英語力は向上できる!」と言い切りました。結果として、入社した同期の中では最低レベルの点しか取れていませんでしたが、受かったもの勝ちです。

晴れて広告代理店でマーケターとしてのキャリアをスタートさせた後、どのような壁にぶつかったのかは次回のコラムでお話します。

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友松 重之(アクセンチュア ソング マネジング・ディレクター)
友松 重之(アクセンチュア ソング マネジング・ディレクター)

電通Y&Rでキャリアをスタートし、米国でのマーケティングMBA、その後J&J、日本コカ・コーラ、GEでブランドマーケティング職に従事。ヤフージャパンでのマーケティング本部長を経て、マーケティング投資分析で世界有数のMarketShare社 アジア代表を務める。2016年5月 アメリカン・エキスプレスへ入社し、デジタルでの新規カード会員獲得、商品、テクノロジー開発の責任を持つ職責を担う。The CMO Club東京チャプター初代プレジデント、2023年10月より現職のアクセンチュア ソングへ。

友松 重之(アクセンチュア ソング マネジング・ディレクター)

電通Y&Rでキャリアをスタートし、米国でのマーケティングMBA、その後J&J、日本コカ・コーラ、GEでブランドマーケティング職に従事。ヤフージャパンでのマーケティング本部長を経て、マーケティング投資分析で世界有数のMarketShare社 アジア代表を務める。2016年5月 アメリカン・エキスプレスへ入社し、デジタルでの新規カード会員獲得、商品、テクノロジー開発の責任を持つ職責を担う。The CMO Club東京チャプター初代プレジデント、2023年10月より現職のアクセンチュア ソングへ。

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