仕組み化経営が利益を生み出す、社員満足度が上がる!

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仕組み化経営とは、成功事例や成果が出たことを、偶然ではなく再現できるものに変えることを指します。属人化を排除して、真似をすれば誰でも成果を出すことができる――これが実現できれば、増収増益はもちろん社員満足度も高めることができると、プリマベーラCCOの松田幸之助氏は話します。

仕組み化経営と聞くと、「社内が堅苦しくなるのではないか」「働きづらくなるのではないか」とイメージする人もいるかもしれませんが、仕組み化経営によって業績はもちろん、従業員が「この会社で働けて良かった」と思えるようになることが肝要です。では仕組み化経営とはどのようにつくり上げていけばよいのでしょうか。この記事では、仕組み化経営とはなにかを解説するとともに、具体的につくり上げていく手法についてご紹介します。

仕組み化経営で大切にすべき2つの考え方

仕組み化経営を進める際に大切にすべき考え方として「DMD」を松田氏は列挙します。DMDとは「違いをもたらす違い」を意味しており、成果を出すためにはこのDMDをより多く発見し、より多く自社に取り込むことが必要になります。成果を出している企業と自社とでは、何がどう違うのか。常にこの観点を持ち、その見つけた違いを自社に取り入れることを継続することが重要です。

イメージ 仕組み化経営で大切にすべき2つの考え方

また、仕組み化経営で大切にすべきは、利益を出すということと従業員の満足度、どちらも重視して進めることです。「やらなければならない業務」は我慢、義務、犠牲が伴いますが、そればかりでは従業員の幸福度は高まりません。従業員の幸福度を高めるためには、自由な裁量権を持って業務にあたれることも必要です。「どうしたらもっとお客様が喜んでくれるだろうか」と自ら考えることで、仕事が楽しくなり、成果を上げやすくなります。やらざるを得ない仕組みをつくることを考えると同時に、社員満足度を高めるという側面も考えていく必要があります。

成果を出すための業績の方程式とは?

イメージ 成果を出すための業績の方程式と決定サイクル

成果を出すためには、まず業績の方程式が何なのかを知ることからスタートしなければなりません。それは

業績=戦略確率×実行確率

であると松田氏は話します。どれだけ戦略が優れていても現場で実行されなければ意味はなく、現場がどれだけ実行してもそもそもの戦略が的外れであったら大きな成果は生まれないでしょう。では、どうすれば戦略確率と実行確率が上がるのでしょうか。それは「決定サイクル」をどれだけ早く回せるかということが重要だと、松田氏は強調します。

決定サイクルとは、報告・決定・実施・チェックという4つの要素を高速回転させることを指します。戦略確率とは、報告と決定の2要素で成り立つものであり、報告の量が増えれば決定の精度も上がると考えます。また、実行確率とは実施とチェックの2要素を指し、実行してチェックされることにより実行確率が上がっていくと考えます。

戦略確率をあげるためにすべきこと

報告の量と質が高まれば、必然的に決定の精度が上がります。例えば現場の情報1つで意思決定をするのと、10の情報を持って意思決定をするのとでは、どちらが精度が高いでしょうか。大半の人が後者だと答えるでしょう。そこでまずは報告を増やすことから取り組む必要があります。

報告の量を増やすためには、報告しやすい仕組みをつくっておくことが必要です。まず「緊急で重要な報告をする場を作る」ことから始めましょう。電話、メール、チャット、何でも構いません。次は、「緊急ではないけれど重要な報告をする場を作る」ことを考えましょう。この場所を持っている企業は、案外少ないのではないでしょうか。業務の改善提案、お客様の声、競合他社の情報……こういった報告は、その場所がなければ現場から経営層までたどり着かないものです。

イメージ 戦略確率を上げる報告の仕組み

さらに従業員が口に出しづらい本音を発信できる場を設けることも必要です。上司と部下のコミュニケーションをとるための飲み会やランチなど懇親会を実施し、いろいろな話をして、報告しやすくなる関係づくりに取り組む必要があります。そして報告を「習慣」とするために、毎日、毎週、毎月、毎年と定期的に報告を集める仕組みを設けて情報を集めていくと良いでしょう。

一方、報告の質を高めるためには、まず報告のフォーマットをつくることからスタートします。例えばクレーム報告のフォーマットには、お客様氏名、日付、背景、クレーム内容、結果、解決の有無、対策の項目を列挙し、報告してもらうようにします。ルールを決めて明文化することで、社長や管理職が「欲しい」と思える報告が上がってくるようになります。

質の高い報告が多く集まってくるようになったら、次は意思決定です。ですが、報告が多く集まってくると情報の渦にのまれがちです。これを回避するためには情報の一時置き場を決め、仕分けをしていく必要があります。具体的な方法は、下記でご紹介している講座で詳しく説明されていますので、気になる方は視聴してみてください。

実行確率をあげるためにすべきこと

イメージ 実行確率を上げる仕組みづくり

現場の「実行」を阻害する要素は3つあります。スタッフの初出勤時などに起こりがちな「何をすればいいかわからない」、具体的な手法がわからず戸惑う「どうすればいいかわからない」、最後は「いつまでに誰がやればいいのかが明確になっていない」です。そこで、これらの3要素を一つずつ消し去るために仕組み化をしていく必要があります。

まず何をすればいいのかわからないという状況をなくすために、チェックリスト化を、どうすればいいのかわからないという状況をなくすために、マニュアル化を、いつ誰がやればいいのか明確になっていないという状況をなくすために、カレンダー化、タスク化を行います。これらによって、現場の従業員が実行できないという状況を解消することができます。

これらを実施するにあたり、デジタルかアナログのどちらのツールを使っても構いません。大切なのは「実行確率が上がるか」であるため、現場に合わせて選択していくのがよいでしょう。チェックリスト化、マニュアル化、カレンダー化、タスク化についての詳細や、実行する際の注意点は、下記の講座で詳しく紹介されていますので、気になる方は受講してみてください。

イメージ 実行確率を上げる仕組みづくり

また、実行確率をあげるには、チェックをすることが欠かせません。なぜならチェックすることによって「やらざるを得ない」状況を作り出すことができるからです。チェックの仕組みづくりの際には、誰がいつ何のチェックするのかということ自体を仕組みにすることが大切です。

さらに、実行確率を最大限上げる方法が「人事制度」です。やってほしいと考えていることを人事評価に紐づけることで、実行すれば評価が上がるという仕組みを作ってしまうのがよいでしょう。ポイントは、評価項目通りに行動をしてくれたら、必ず成果が出ると思える評価シートを作成すること。ですから、そもそも評価シート通りに行動しても成果がそれほど出ないと思うようであれば、早急につくり直したほうがよいでしょう。

さらに評価制度を作る際に重要なポイントがあります。それは、その項目の最高評価点は「人に教える、仕組みを作る」という行動に対して与えることです。それにより、業務の知見が属人化せず、社内に広がっていく仕組みを作ることができるからです。また「マニュアルを作っても、なかなかその通りに実行してくれない」と悩んでいる場合は、その項目の中間評価点は「マニュアル通りにやる」という行動に対して与えるとよいでしょう。

成果を早く生み出せる「期待成果」とは?

イメージ 期待効果で効率的に効果を生む

期待成果とは、その取り組みを行うことでどれほどの成果が予測されるのかという仮説のことです。なにか新しいことを導入するときや、既存の業務を改善しようとするとき、まず期待成果を考えることが大切だと松田氏は話します。期待成果を考えることにより、やるべきことを絞り込むことができ、より早く成果の出る仕組みが整うからです。

期待成果を考える時は、

1.単価を上げるPアップ
2.販売点数を増やすQアップ
3.原価を下げるVダウン
4.経費を減らすFダウン

という4要素を考えることによって算出しやすくなります。

イメージ 期待効果で効率的に効果を生む

例えば、店舗が認知されにくい立地にある場合にデジタルサイネージの設置を考えたとします。すると、サイネージの前を歩く通行人が1日何人くらいかがわかっていれば、そのうち5%が認知し、そのうちの10%が購入した場合の年間購入金額は……と算出することができます。

時間は有限のため、考えついた打ち手のすべてを実行するわけにはいきません。そんなとき、期待成果がいくらなのかを算出することができれば、インパクトの大きいものから優先的に実行すると決めることができます。マニュアルを作るにしても、そのマニュアルによって時間を削減し、人件費を最適化することができるなど、なにか意味があって取り組むはずです。

期待成果は、正確でなくても構いません。仮説と検証を繰り返し、チューニングを行っていくことで期待成果の算出がより正確になり、成果につながっていきます。期待成果を考える際のヒントとなる具体的な事例は、下記の講座でも紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください。

仕組み化は手段であり、目的ではない

仕組み化を考えていくうえで、決して忘れてはいけないことは、仕組み化は目的ではないということです。これを忘れると社員の満足が後回しになってしまいます。仕組み化は、お客様や従業員にもっと喜んでもらうためにすることです。この原点を忘れないようにしましょう。

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