オールハーツ・カンパニー、PAPABUBBLE、MHDモエヘネシーディアジオ、アース製薬のマーケターが語る、ブランドの魅力を増す「体験価値」の高め方とは?

アース製薬の小泉氏は、虫ケア商品を例に挙げてカスタマージャーニーマップを共有した。まずは気温が上がり、虫のことが気になるタイミングで広告を打つ。また、「そろそろ虫に悩まされる季節だ」とか、「虫が出た!」という時にお客さまは害虫名を検索し、対処方法を探すため、自社サイトや口コミなどを充実させている。一方で、同じ類の商品が乱立しているため、どんなパッケージが店頭で目立つのかなどの検証を行っている。

写真 人物 小泉さん

猫の形をした「ねこねこ食パン」をはじめ10のブランドを展開しているオールハーツ・カンパニーの樋口氏は、「ブランドの選択肢が多いジャンルで、ブランドスイッチが非常に多い」と業界の実状を明かした。そんななか、ねこねこ食パン、ハートブレッドアンティークという二大看板ブランドにおいては、ショッピングモールでの買い回りを楽しむ人、可愛いもの好き、ねこ好きな人をターゲットに据え、「ハレの日ベーカリー」をコンセプトに食べるときの驚きや想定外の発見を届けることを大事にしていると語った。

写真 人物 樋口さん

新しいニーズを開拓し、来店客はデジタルでその後をつなぐ

続いて、各社が抱える課題と、それを解決するためのマーケティング戦略について共有した。島岡氏は、「日本でのシャンパーニュの市場浸透率はまだ大きな伸びしろがある中で、飲用者を増やすにはどうするべきか」が課題だとし、そのためには家庭内オケージョン(お祝いシーンの提案)、和食とのペアリング強化、乾杯で終わらずに食事を通して楽しめる提案、小型容器の販促を強化していきたいと語った。ブランドの本拠地であるフランスと日本は、芸術の面でも互いにリスペクトのある国。芸術のテリトリーでシャンパーニュの露出を高めていきたいとも話し、昨年は京都の歴史ある寺院でドン・ペリニヨンの新作リリースを実現した。

小泉氏は、今の住環境が良くなっていることもあり、最近は「駆除」よりも「予防」を提案。実際に、虫を見たくないという予防のニーズは高まっているという。また、リピーターやファンを獲得するための施策の一つとして「楽ちんおしらせQR」を導入。取り換え時期が1年先など長いスパンの虫ケア商品は、忘れて放置されてしまうことも多いので、お取替え日がスマホのカレンダーに登録されるというサービスだ。また、公式LINEにChatGPTを搭載して、虫の学習をたくさんさせた。虫は夜行性のものも多く、消費者がいつでも気軽に虫の相談ができるようにするためだ。「実は虫の相談以外だけでなく、人生相談にも上手にのってくれる」と小泉氏は遊び心も明かした。

樋口氏は、高級食パンブームが終焉という外的環境変化のなか、「ねこねこ食パン」の新たなポジショニングの確立が遅れていることを課題に挙げた。そこで考えているのが「かわいい食べ物」が集結したセレクトショップ化や、ファン形成といった要素だ。幸い猫好きはとても多く、伸びしろはまだまだある。樋口氏は「グッズ類を拡充させて、食べてなくなる食パンに、食べずになくならない可愛さをプラスしたい」と語る。

越智氏は会社のメンバーの意識を改革させることに注力している。スタッフ一人ひとりに“お菓子屋さん”ではなくブランドとしてのプライドがあるかどうか。それによりSNSの動向から商品作りにまで変わるという。また、一度来店したお客さまを放さないよう、CRMの実装にも取り組んだ。LINEを主軸においてPOSレジとの連携を図り、1年で23万UUの友だち獲得を実現した。

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