前年比1.9%減の家電小売市場 回復傾向の生活家電に対し、落ち込むスマートフォン

生活家電全体では、主要な大型家電は前年並みだが、理美容家電が伸長。特にドライヤーや男性用シェーバーなどのハイエンド需要が高く、市場全体をけん引している。コロナ禍で売れていた反動で2021年以降落ち込みが続いていた電子レンジや炊飯器も回復傾向にある。

冷蔵庫は前年並みの210万台。容量クラス別の数量構成比では、小容量(200L以下)が前年から2%増の46%、中容量(201-400L)は1%減の21%、大容量(401L以上)も同1%減の33%となった。401L以上の大型冷蔵庫の平均価格は前年から1%上昇した。しかし小型冷蔵庫の構成比が拡大したことで、冷蔵庫市場全体の税抜き平均価格は前年から3%下落した。

洗濯機は前年並みの260万台。タイプ別の数量構成比は前年から変わらず、ドラム式が20%、縦型が78%、二槽式が2%となった。洗濯容量別の数量構成比では、小容量(洗濯容量6kg未満)が24%、中容量(6kg以上8kg未満)が26%、大容量(8kg以上)が50%を占めた。大容量のうち12kg以上の製品は依然として拡大基調にあり、洗濯機に占める数量構成比は前年の14%から15%となった。平均価格の上昇は一服し、洗濯機の税抜き平均価格は前年から3%下落の8万7000円となった。

エアコンは前年から8%増の420万台となった。23年の上半期はそれほど気温が上昇せず、販売は不調だった。それに対して、24年4~6月は北海道東北で平年比プラス2.2度、そのほかの地域でも平年比約プラス1度を記録するなど、夏場に入る前から暑い日が続いた。その結果、早期購入を中心に販売が好調に推移したと見られる。冷房能力別の数量構成比に大きな変化はなく、小部屋向けの2.2kWが47%と半数近くを占めた。全ての能力帯で平均価格が前年を上回り、市場全体では前年から4%上昇した。

掃除機は前年並みの360万台となった。スティックタイプの数量が前年から7%増となった一方、キャニスタータイプは同4%減、ロボットタイプは同16%減となった。掃除機の過半数を占めるスティックタイプの数量構成比は前年からさらに4%ポイント伸長し61%となった。掃除機の税抜き平均価格は前年から5%上昇の2万6000円となった。

ロボット掃除機の減少について、同社Customer Success Managementシニアアナリストの藤巻憲氏は、継続利用率の低さが要因の一つとみている。購入者調査によると、ロボット掃除機を購入した人に過去1年間で使用した頻度を尋ねたところ、1年以上使っていない人が16%だった。事前に床の物を片付けるなどの手間について、購入前に把握していなかったケースもあり、購入後に日常使いできていない人が一定数いると推測している。

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