キリンビバレッジへの事業譲渡が発表されたのは、2月のこと。本企画に携わった、花王の長谷川 舞氏によると、企画の発端は「譲渡後も愛され、飲み続けてもらえるブランドであって欲しい」という、同社の想いからだったという。「ヘルシアは多くのお客さまに愛されてきたブランドです。それゆえ、販売会社が変わっても愛され、飲み続けてもらえるブランドであって欲しいという当社社員の願いは強いものでした。事業譲渡を経ても、ブランドへの想いは変わらないことを前向きなかたちで伝えることで、その願いを実現したいと考えました」(長谷川氏)。
その後、これまでも「ヘルシア」ブランドのクリエイティブを担当し、ブランドの想いを解像度高く共有できる電通のチームに相談をもちかけた結果、一緒に企画を練り上げていくこととなった。
企画では、電車内や駅でのOOH展開に加え、Xやnote でも譲渡への想いを投稿。noteでは、「“事業譲渡” と聞くと、企業と企業とのビジネスの側面が強く感じられるかもしれません。ただ、私たち社員が、大事に育て、注いできた情熱は最後まで絶えることなく、キリンさんに引き継ぎたい」とコメントし、同社のヘルシアへの熱い想いを伝えた。
企画の読後感にこだわり
今回の企画のターゲットとなったのは、ヘルシアを現在、もしくは過去に飲用していた利用者だ。
「ヘルシアをこれまで愛飲してくれたお客さまに、『ヘルシアの想いは引き継がれていく』ということを伝え、変わらずヘルシアを飲んでいただきたい。この想いを基に、企画の世界観をつくっていきました」(長谷川氏)。
特に、事業譲渡について取り上げるコミュニケーション企画となると、エモーショナルな訴求法も考えられたが、“ポジティブな読後感”を意識してその選択は控えたという。「今後も続いていくブランドであるという点を意識した時に、企画に触れた人がよりポジティブに感じられるような読後感を目指しました」(長谷川氏)。
展開後からターゲットの声が集まり、企画の成果を実感し始めていると長谷川氏は続ける。
「なによりも、『これからもヘルシアを飲みたい! 』という期待の声を多くいただく企画となりました。私たちの想いのこもったブランドであることが伝わったことで、今後も飲み続けたいという生活者の気持ちにもつながったのだと思っています。事業譲渡のニュース性に、ブランドや生活者を大切にした企業姿勢を重ねたことで、『温かく素敵なバトンタッチ』という声をいただき、うれしく思っているところです」(長谷川氏)。
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