※本記事は、月刊『宣伝会議』10月号に掲載されています。
BiSH解散発表時には渋谷の広告のコピーを考えた
━━撮影のご感想をお聞かせください。
今回は「静」と「動」の2パターンの撮影をしていただきました。「動」の時は身体の動かし方を色々と試してみたり、逆に「静」の時は表情にフォーカスを置いて撮影に臨みました。
頭の中に漠然とあるものを言葉にすると行動が変わることがあります。今回の撮影は、まさに「静」と「動」という言葉からインスピレーションを受けたものでした。こう考えると、「言葉」が持つ可能性を上手く表現している撮影になったのではないかと思います。
━━「言葉」の持つ力を、どのように捉えていますか。
私は大学時代から、コピーライターや作詞家など言葉に携わる職業に憧れを持っていました。
ただ、言葉の世界で生きていくことは、私にとってどこか非現実的であったし、そもそもどうやって作詞家やコピーライターになれるのかはよく分かりませんでした。そんな中、BiSHに加入することになり、作詞や本を出したりすることができました。その経験から、言葉を人に伝えることの素晴らしさを本当の意味で知ることができたと思います。
2022年には、東京・渋谷でBiSHの解散を発表する広告を展開しました。この時に使用するコピーを書かせてほしいと事務所に頼んで、そのために、コピーライティングの本を何冊か買って勉強しました。もちろん勉強にはなりましたが、その場限りで本をサラッと読んだだけでは、すぐにクリエイティブに反映することは難しく。なんとか案をいくつか考えて事務所に持って行ったのですが、すんなりOKは出ませんでした。
最終的には元々私が出した案も参考にしつつ、プロデューサーと再検討していく最中の会話の中で、「これから解散パーチー始めます。よろ。」などのいくつかのコピーが決まりました。
このことにかかわらず、最初から決定打を出そうとするのはとても難しいことだと感じます。私は仕事では、納得する言葉が思い浮かぶまでたくさんの案を書いてみたり、誰かと話してみたり、どこかに行ってみたりして、その過程も楽しむこと、その過程で得られるものも大切にしています。
0から1を生み出すのは難しいですが、0を0.1、0.2まで持っていくのは、なんかできそうな気がします。書くときのみならず、何かで煮詰まった時はそんな作業の繰り返しなのだと、私はよく考えています。
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