アンケートでは「商品のCO2排出量を「見える化」しているブランドに対し、「好意的な印象を持つか」「CO2排出量の『見える化』は、今後広がっていくべきだと思うか」などのブランド認識に関する設問のほか、「商品のCO2排出量がわかることが、商品購入の意思決定にどれくらい影響を受けたか」といった行動変容に関する設問を用意した。
実証期間中のスキャン件数は841件。うちアンケートは440人が回答した。女性人気が高いブランド店での実験だったため、アンケートの回答者は9割が女性。年齢は20~30代が8割を占めた。
行動変容については、購入時に普段は意識していない環境問題を考えるきっかけになり、ブランドの好感度向上につながることが判明した。CO2排出量の「見える化」を行っているブランドに対して、「好意的な印象を持つ」と回答した顧客は、世代を問わず8割以上。「同様の取り組みは今後広がっていくべき」と回答した人も9割以上だった。この結果から、CO2排出量の可視化がブランドの「ファン化」を支援する手段の一つになりうると見ている。
CO2排出量の「見える化」が与える、商品購入の意思決定への影響に関しては、20~30代の6割以上が「影響を受けた」と回答。一方、店舗スタッフのフィードバックでは「デザインを優先する傾向が強い」という指摘もあり、CO2排出量の「見える化」は、商品購入の要因として最優先になるとまでは言えないと考えられる。
「店頭で商品のCO2排出量がわかることが、商品購入の意思決定にどれくらい影響を受けたか」という設問では、「サステナブルを意識している企業の洋服を購入したい」「環境にも良いならなおさら買おうという気持ちになった」という声もあるなど、CO2排出量の「見える化」が購買意思決定に少なからず影響したと見られる。結論として、「見える化」による定量的効果は限定的ではあったが、顧客の認知度向上など一定の効果はあったとしている。