米国でデザインを学び、日本で就職
――海外の大学への進学はいつ決心したのですか。
子どもの頃から写真や絵が好きだったこともあり、視覚的に情報を伝える、いわゆるビジュアルアーツを学びたいと考え、アメリカの大学に進学しました。留学を選択したのは、英語を手段として使えるようになりたいと思ったからです。
大学ではグラフィックデザインを専攻しました。当時、アメリカではiMacが発売されたことで、グラフィックデザインという仕事の裾野が大きく広がった時期でした。現地の友人もグラフィックデザイナーやイラストレーターが多く、面白そうだと思いました。デザイナーという職業があることも高校生のときには知らなかったので、「なんだか熱いぞ」とワクワクしたんですよね。卒業後は、ニューヨークのクリエイティブブティックで働き始めることになりました。
Suntory Beverage and Food Europe Design Head
児島薫(こじま・かおる)氏
アメリカの大学でグラフィックデザインを専攻。卒業後、ニューヨークのクリエイティブブティックにデザイナーとして就職。帰国後は外資系ブランディング会社、家電メーカーを経て、2015年にサントリーに入社。「クラフトボス」や「オールフリー」などのクリエイティブディレクションとデザインに従事した。2023年より現職。フランスに出向中。
――その後、日本へ戻り、就職したのはなぜですか。
留学したことで、日本の良さを改めて感じて、日本に興味が湧いたからです。英語力が身に付いたところで、「日本でデザインの仕事を続けたい」という気持ちが固まり、帰国を決めました。
転職活動には少し苦労しました。日本企業を中心に応募していたのですが、書類選考すら通りませんでした。実力不足もありましたし、転職エージェントには「日本での就業経験がないと、日本企業は難しい」と言われ、外資系企業を薦められました。そんな中で良いご縁があって、フランスに本社を置くブランディングエージェンシーに入社しました。
日用消費財の仕事には、この会社で初めて携わりました。上司であるクリエイティブディレクターに、パッケージデザインのいろはから叩き込んでもらいました。この経験がなければ、今の私はないかもしれません。