社内クリエイターはどう評価される?インハウス歴25年以上の先輩に聞いてみた

優秀なクリエイターが入社を決めてくれた瞬間が嬉しい

古野:現在のHENNGEのデザインマネジメントセクションは、UIとコミュニケーションの二つに分かれていますが、当時はその二つを一人で担当していたということですね。今は鏡さんはデザインマネジメントセクションのマネージャーですが、マネージャーとしてチームデベロップメントをどう考えていますか。

:チームの状況によって役割はケースバイケースで変わってきてるのですが、今はデザインの方向性をいちいち指示する必要はないと感じています。理由としては、非常に優秀なクリエイターが入ってきてくれているのと、デザインシステムをはじめとしたデザインガイドラインが整備されつつあるので細かい指示を出さなくても大丈夫だからです。

むしろ、クリエイターが働きやすい環境や仕組みを整えること、そしてチームがまだ拡大フェーズにあるので、チーム作りが今の一番大きな仕事だと感じています。

特に、優秀なクリエイターが入社を決めてくれる瞬間が、最も喜びを感じる瞬間のひとつです。面接時に「この人と働きたい」と強く感じることがあり、その人が実際にチームに加わることは大きな喜びです。HENNGEのコミュニケーションデザインチームでは、育成が必要な人材ではなく、既にプロとしての経験を持つ方々を積極的に採用しています。

特に、広告分野で豊富な経験を持つ方から学ぶことが多く、そのような専門知識を持った人たちと共に学び合う環境を作ることが重要だと感じています。

「グッドデザイン賞」で社内の見られ方が変わった

古野:なるほどですね。ちなみに、今までのデザインキャリアの中で何か印象深い仕事とかありましたか?

:HENNGEが2001年に「Linux Controller(リナックスコントローラー)」でグッドデザイン賞を受賞したことは、私にとって大きな成果でした。

写真 商品・製品 グッドデザイン賞を受賞した「Linux Controller」

2001年にグッドデザイン賞を受賞した「Linux Controller」。

当時、私一人でデザインを担当しており、上司もデザイナーをどのように評価すればよいのか判断基準が難しかったと思います。なので、客観的な評価が必要だと感じていたところでした。この受賞を通じて、社内での信頼関係に良い影響を与えたと思います。

デザイン分野では評価基準が曖昧なことが多いですが、具体的な賞を受賞することで周囲の認識や対応が変わったと実感しています。

特に広告・印刷関連では、以前は「若造が印刷の再現が難しい、よくわからないデータを作っている」と見られていたものが、受賞後にはその意図が理解され、評価していただけるようになったことは大きな転機だったと思います。この経験を通じて、デザイン賞の重要性を再認識し、その価値を実感するようになりました。

古野:確かにデザイン分野って評価基準が曖昧な部分があるので、なにか賞を受賞することって大切ですよね。クリエイターの評価基準の話でいうと、AIをどう使いこなしていくかのスキルも必要になってくると思うんですが、次回、また詳しく聞かせてください。

(次回へ続く)

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古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)
古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)

広告プロダクション、外資系広告会社を経て、2023年にHENNGEのクリエイティブディレクターに就任。デザイン戦略やブランド構築を担当。同社のメインプロダクトであるHENNGE Oneのリブランディングや、ユーザーコミュニケーションを向上させるデザインプロジェクトを手がける。

古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)

広告プロダクション、外資系広告会社を経て、2023年にHENNGEのクリエイティブディレクターに就任。デザイン戦略やブランド構築を担当。同社のメインプロダクトであるHENNGE Oneのリブランディングや、ユーザーコミュニケーションを向上させるデザインプロジェクトを手がける。

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