本書は、広報にたずさわる者にとって最新の参考書と呼べる一冊ではないでしょうか。
外部環境の変化に合わせて多様化している広報について、企業・法人がどうあるべきか、心理的背景をベースとして本当にターゲットに到達する広報とは何か、現代社会におけるリスク管理など7つの章に分けて丁寧に説明され、これからのレピュテーションマネジメントを本気で考えるための導入書といえます。
現在、広報は、いかに世の中に広く良いインパクトを与えたかを重視する段階にあると言われています。コロナを経て、以前にも増して多様な価値観を持つようになった人々に対して、広報もまたこれまでの広報からの脱却が求められていると考えます。そのような中で、何を重視した広報をすべきか悩む広報担当者は多いのではないでしょうか。
中でもインターナルブランディングに関して記された第3章は、インターナルブランディングを組織の課題ととらえ、どのように考えるべきか思案していた私にとって興味深い内容でした。とかく広報は、外部からどのような反応が得られるのかに目が向きがちですが、内部への働きかけがあってこその対外広報だと改めて認識し、リブランディングや課題解決に向けて動きだすきっかけとなりました。
また、最終章の「PR4.0実践に向け留意する視点」に照らし合せ、現在、自分たちの広報がどの程度到達度の高い広報が出来ているのか、また何が不足しているのかを確認し、有効手段を検討することができた点も見逃すことはできません。
専門用語にあふれた書籍とは違い、実務に携わる方々が書かれたからこそ腑に落ちる内容であり、広報担当者はもちろんのこと、経営者の方や広報を学ぶ学生など幅広い方に手に取って頂きたいです。
定価:2,200円
(本体2,000円+税)
『新しい「企業価値」を創出する PR4.0への提言』
編著:株式会社 電通PRコンサルティング
本書は、電通グループ内のPR領域における専門会社である電通PRコンサルティングが2020年8月から3年間、月刊『広報会議』(宣伝会議発行)において連載した「データで読み解く企業ブランディングの未来」をベースに、現在、そして来るべき広報の未来に向けて加筆しました。
『PR4.0への提言』は、序章と7つの章で構成されています。序章では、まずPR(パブリックリレーションズ)の進化について振り返ります。PR1.0は情報拡散を目的としたPRとして位置づけ、その後はPRの効果測定の指針として世界的に採択されている「バルセロナ原則」(※)に照らし合わせ、現在、自分たちの、2.0(アウトプットからアウトカム)、3.0(インパクトの評価)としています。そして来るべき「PR4.0」はどこに向かうのかを、本書を通して考察していきます。
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