マーケティング用語がわからなかった新人時代 コトラーの書籍で必死に学ぶ
前回コラムでは、32年にわたる私のマーケターとしてのキャリアの転機になった3つの出来事を紹介しました。大学時代に外資系広告代理店に飛び込みで履歴書を持ち込み、見事内定を獲得。卒業後、広告代理店でキャリアをスタートさせましたが、そこでさっそく壁にぶつかることになります。
新入社員向けのトレーニングで何を言われているのか用語が全くわからなかったのです。同期は皆、最初から広告代理店志望だったからか、一様に理解できている様子で焦りを感じました。私は、最初は広告代理店に興味を持っていなかったので業界研究もしていません。
焦った私は、急いでマーケティングの勉強を始めます。先輩からフィリップ・コトラーの『マーケティング・マネジメント』を読むことを勧められました。その書籍は当時のマーケティングの基本のほとんどを網羅していましたが、大学にマーケティング学部などがあったわけでなく、この分野の勉強もしてこなかった私は、電話帳のように分厚くて重いその書籍を買った瞬間から気持ちが重くなりました。
それでも、自分の将来のために必要なことだと思い、時間を見つけながら読み進んでいくうちに、マーケティングの領域の広さや深さを理解するようになりました。これを知らずして仕事をしようとしていたのは、とんでもなくヤバイことだと感じ、一生懸命まず一回読み切ることに注力しました。知りたい知識を得ることができて楽しいという感覚は、小学校の偉人の伝記を読み漁っていたころ以来でした。
また、仕事において電通Y&Rの7Questions、ラダリングメソッド、BAV(Brand Asset Valuator)など、書籍には載っていないニューヨークの最先端メソッドに触れられたのも幸運だったかもしれません。