背後にある企業の人格が商品選びに影響する時代
――顧客・ファンとのコミュニケーションはどう行っていますか。
佐藤:ファンの方々にもミッションを伝えることを大切にしています。ファンと会社が見つめ合う関係性から、最終的には同じ方向を向いて共にミッションを達成する仲間、友人のような関係性になれることを目指している。そのためにファンの方々に会ってミッションを直接伝えますし、最近どんなことを思っているのか双方で伝え合い信頼関係を築くことを丁寧に行っています。
先日も「よなよなこれから会議」と題して、非常にぞっこん度の高い9人のファンの方と、我々の製品とサービスに関するご意見や、これから共に活動するためのアイデアをオフィスで3時間ほど話し合いました。多様なフィードバックを頂けるので、社内に共有して新しい活動に活かしています。
内山:Kanro POCKeTというECを中心としたプラットホームで、購入者とコミュニケーションを取り初めているところです。東急プラザ原宿「ハラカド」に立ち上げた「Kanro POCKeTラボ」のオープン前にファン招待イベントも行いました。ここでは商品購入に加えて、オリジナル缶バッジ制作やグミッツェルのASMR、ガチャガチャなどを体験していただきました。
またSNS上でのコミュニケーションに関しては、Z世代が外せません。今、若い人はグミをたくさん食べているのですが、一方でハードキャンディー離れが課題です。そこで女子高生と共にドキドキ・ワクワクするあめの商品開発プロジェクトを行いました。しかし一瞬PRで売れたり、SNSで話題になったりしたのですが、継続購入に至らない課題が残りました。あめを食べる文化をつくるために、ファンと共にあめの基本的価値とは何か考えることが重要なのではと考えています。
――コーポレートコミュニケーションという観点でSNSにどんな可能性があると考えますか。
内山:SNSは、1回1回のコミュニケーションでエンゲージメントが上下しながらも、時間をかけてカンロ全体のファンになってもらう手段として非常に有効と考えています。「キャンディーと言えばカンロ」と思ってもらえるブランドは、一方的な広告というよりも、SNSなどで長期間かけて形成されていくものだと思います。
佐藤:今、商品を選ぶときって、どんな会社が作っているかも調べると思います。だからこそ商品の良さだけでなく、会社のスタンスや感情を伝えることがますます重要です。ヤッホーの場合、公式アカウントだけでなく、社員が個人のSNSを通して製品やプロモーションの情報発信を行うこともあります。自分たちが製品の一番のアンバサダーとして積極的に発信しファンと交流することで、コーポレートの好感につながっていると思います。