「Advertising Week Asia2024」は9月17日~20日の開催。
インターネット広告がマス4媒体総計の売上を追い抜き、さらに成長を続けています。この広告市場のなかで、マスメディア企業、さらにテレビはどのような戦略を描くべきなのでしょうか。
「Advertising Week Asia 2024」に登壇するメンバーを中心に、多様な立場で「テレビ」に関わるキーパーソン3名に一問一答形式で回答してもらいます。
皆さんに投げかけた質問は以下の3つ。今後、各質問に対する皆さんの回答を紹介していきます。2つ目の質問は、「今日のメディア環境において、テレビCMならではの特性・独自性はどこにあると思いますか?」です。
Quetsion2:
今日のメディア環境において、テレビCMならではの特性・独自性はどこにあると思いますか?
企業ブランドと生活者の接点となりうる、メディアが多種多様に増えています。このメディア環境の中で、「テレビ」はどのようなポジショニングをとっていくべきだと思いますか。テレビCMならではの特性・独自性を踏まえた、メディアの中でのポジショニングについての戦略・アイデアをお聞かせください。
【小野寺さんの回答】
テレビCMは、依然として1日に数千万人にリーチできる貴重なメディアチャネルであり、そのプロフェッショナルなコンテンツと放送局による厳格な考査基準によって、高い信頼性と安全性が確保されています。また、放送の同報性や速報性を最大限に活用し、ブランド認知の向上や消費者からの信頼獲得においても大きく貢献しています。
しかし、デジタルメディアの急速な普及により、視聴者のメディア消費はデジタルシフトしています。総務省のデータによれば、特に10代から30代のテレビ視聴時間は顕著に減少し、視聴者層の高齢化が進行しています。この変化に応じて、テレビCMには新たなアプローチが求められます。
具体的には、デジタルメディアとの連動性(クロスメディア施策・統合プランニング等)の強化や、技術的な側面ではTVerやAbemaTVなどの外部動画配信サービスとの広告枠統合を進めることで、テレビとデジタルメディアの両方での視聴者リーチを拡大し、より幅広い広告接触機会を創出できると考えられます。
また、地上波広告(テレビCM)にオークション型取引を導入し、デジタルメディアと同様にインプレッションベースでの取引を実現することで、テレビCMのターゲティング精度をリアルタイムで向上させ、効果的なインプレッションリーチを獲得できるでしょう。
さらに、局考査の基準を考慮しつつ、クリエイティブにもデジタル広告同様のインタラクティブ性を持たせることで、テレビCMの広告効果が一層飛躍する可能性があります。
これらのアプローチによって、テレビCMは今日のメディア環境や視聴者のメディア接触状況に適応し、その本来の価値を一層アップグレードさせることができると考えています。
【蜷川さんの回答】
パーソナルデバイスが充実し、広告のターゲティングやセグメント化が進むなかで、共視聴されることの多いこと、多くのユーザーが同じコンテンツ体験をし、広告主のメッセージが寄り添うこと、コンテンツも広告も、きちんと審査されていること。健全で有益な情報提供手段として、今後も評価されるべきものとして考えます。
一方で、取引方法については、当たり前のようにデータなどを活用した、プログラマティックなものに、早急に昇華すべきです。
【松田さんの回答】
「動画広告」とよく言われますが、視覚以上に「音声を使えること」が特長だと思います。情報内容自体が正しいかどうか以上に、話し手の見た目や声質が信じられそうかどうかが大事だったりします。また音楽や効果音も一般の人が考えているよりもかなり影響が大きいと思います。
講演の時に「一旦黙って注目を集める」というコツがありますが、テレビCMでも無音や小さめの音をうまく使う余地はあると思います。もちろん放送事故扱いされない程度に。以前「答えは15秒後」というCMを企画実施いたしました。
従来の常識にとらわれない発想の余地はまだまだあると思います。「お得」で言うと、最近はコネクテッドTVの視聴量が、急速に増えていますが、投下金額は全く付いてきていません。つまり「割安」でいいメディアを買える可能性が結構あります。研究のしどころですね。