「経営陣がクリエイティブに関心がある組織」はやっぱり強い?インハウス歴25年以上の先輩と考える

経営陣のすぐそばでデザインができれば、パフォーマンスが上がる

写真 人物 HENNGE デザインマネジメントセクションのマネージャー 鏡雅好さん、筆者。

古野:そうですね。直接的なコミュニケーションがあると、意見やフィードバックに対する理解が深まり、納得感を持って仕事に取り組むことができるのは大きなメリットですよね。経営者や決裁者との距離が近いことで、仕事の進め方や方向性もより明確になりますし、全体の一体感が強まるのも自然なことだと思います。

:はい。経営陣のすぐそばで、クリエイティブができる、デザインできるのはパフォーマンス向上のためにも大切だと思います。それは、インハウスデザイナー全体に共通することではなく、HENNGEの文化や価値観が影響している部分が大きいかもしれませんが。

古野:上層部がデザインとかクリエイティブを好きとか興味があるのはいいですよね。もし自分が経営者だったら、そういったブランディングに興味を持つことができるかどうか、自信がないですね。逆に、今の経営陣がそういった興味を持っているのを見て、すごいなと感じる時があります。

:経営者としての経験から、企業が危機に瀕したり外部との競争が激化したりする中で、ブランディングや見せ方の重要性に気づくことが多かったんだと思います。

特にIT業界では、GAFAなどに代表される企業が圧倒的な技術力と同時に強力なブランド戦略を展開しており、これは成功の重要な要素となっています。

例えば、他社よりも機能的には劣るとされる製品が、高価格で売れるケースもあり、これはブランディングが価格に大きな影響を与えることを示しています。競争が激化する中で、単に機能訴求だけでは限界があることも私たちの世代は理解しています。経験豊富な経営者は、市場の変化に敏感であり、その感覚が優れているのではないでしょうか。

古野:最後に、今後のデザインに関して、おぼろげなアイデアや興味がある分野についてお伺いしたいです。鏡さんはWeb、UI、コミュニケーションデザインなど、さまざまな領域で経験を積んできた印象があります。現在、他に興味があるデザインのジャンルや分野はありますか?

:現在、私はプロダクトデザインに強い興味を持っています。サービスのデザインもいいですが、物がもつ存在感をデザインすることにも魅力を感じていたりします。

以前のプロジェクトで、人感センサーを用いた会議室の利用状況や予約管理のプロダクトを開発したことがありました。このプロジェクトでは、筐体のデザインから、色の設計、金型の製造、パッケージングに至るまで、幅広く関わりました。

この経験を通じてプロダクトデザインの楽しさを再認識しましたし、今後もこの領域での仕事に挑戦したいと考えています。
そうすることで、自身のデザインの幅も広げられますし、それが会社への貢献度にも反映されていくと信じてます。

古野:長い時間ありがとうございました! プロダクト開発の際は、僕にもお声がけいただけるとうれしいです!(笑)

:はい、ぜひ。こちらこそ、ありがとうございました。

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全7回にわたって、インハウスクリエイターについて書かせていただきましたが、いかがでしょうか。このコラムが、インハウスへの転職を考えてる方や、キャリアに迷ってる方に少しでも参考になれば幸いです。

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古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)
古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)

広告プロダクション、外資系広告会社を経て、2023年にHENNGEのクリエイティブディレクターに就任。デザイン戦略やブランド構築を担当。同社のメインプロダクトであるHENNGE Oneのリブランディングや、ユーザーコミュニケーションを向上させるデザインプロジェクトを手がける。

古野照雄(HENNGE クリエイティブディレクター)

広告プロダクション、外資系広告会社を経て、2023年にHENNGEのクリエイティブディレクターに就任。デザイン戦略やブランド構築を担当。同社のメインプロダクトであるHENNGE Oneのリブランディングや、ユーザーコミュニケーションを向上させるデザインプロジェクトを手がける。

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