継続することでしかお客様の理解は深められない/日本郵政グループ新CM

このCMをきっかけに、注意していたら若いタレントが局員として出演するかんぽ生命のCMを発見。同じ色の鳥が飛んでいて……郵便や保険、貯金などの銀行機能などを統合したCMを私は見たのだとやっと気がつきました。

かんぽ生命「3色の鳥・かんぽさんが来た日」篇(30秒)

多くの皆さんが持つ郵政のイメージなのか?よく分かりませんが、そのCMは笑顔たっぷりで、それはそれで残る印象は良いのですが、上品過ぎるのかな~と感じました。私ならもっと直接的に、各社の機能CMと統合CMをつなぎ合せてしまいたくなりました。

お客様より、社内が先に飽きてしまうことも

自分自身、商品ブランドのCMに加え企業広告を数十本と作ってきましたが、商品広告以上に企業広告で上手く行ったという記憶がほとんどありません。自分なりに良い企業広告ができたと思っていても、クリエイティブ調査をすると「おたくの会社が(海外で)良いことをしているのは分かったが、我々には関係がない!」とぶった切られるコメントを頂いたことがあります。企業の活動の事実を素直に伝えたつもりが、結局見ているお客様の共感にもつながらず、「自慢話」をしていたに過ぎなかったのだと気づかされました。

企業広告は、すべてを知り尽くしている側が作り上げます。お客様と企業の相互の理解が深まることはお互いのメリットにつながりますが、どうしてもお客様一人一人は企業の多様な事業に関わり切れていないので、理解を深めることは容易ではありません。

1回のCMに多くを求めず、継続することでしかお客様の理解を深められないのです。おそらく、その準備はされているのだと思いますが、我慢できるでしょうか?

お客様より、社内が先に飽きてしまう、諦めてしまうことも過去の経験としてあるので、ぜひ、しつこく、粘っこく頑張って欲しいものです。

avatar
名久井貴詞

なくい・たかのぶ/1958年青森県八戸市生まれ。武蔵野美術大学卒業後、1983年味の素入社。企業内クリエイターとして、パッケージデザインの開発やテレビCM・新聞・Webなどの広告全般の企画・制作に携わる。2017 年、クリエイティブ統括部⾧として味の素のグローバルコーポレートロゴデザインを制作し、世界一斉に改定を実施した。2021年に退社。現在はクリエイティブディレクターとして、また大学での講師活動も行っているほか、2023年から日本広告制作協会(OAC)理事長を務める。

advertimes_endmark

1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ