「空港はブランドの玄関」ポートランド国際空港のリノベーションとPR

空港はブランドの玄関にもなる

ポートランド国際空港には、インスタ定番ショットというのがあります。その主役は、この床のカーペット。

画像説明文

このカーペット柄は、1988年に空港に現れたもので、ポートランドの港をモチーフとしています。このカーペットの上に靴を置いて撮るのが常になっています。こんな感じ。

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が、2015年にカーペットの柄が変更となり、このカーペットを誇りに思っていた市民の間で大騒動になったとか。そこで今回のリニューアルを機に昔の柄が復活しました。やってきた人がみんなSNSにあげたくなる仕掛けになっています。2026年にこのリニューアルは完了するそうですが、カーペットスポットはそれまでにもっと増えるとされています。

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こちらはPort of Portlandが提供している、ポートランドを代表するドラァグクイーンであるポイズン・ウォーターズがセルフィーする写真。ポイズン・ウォーターズはポートランドのコミュニティカレッジの講師をしたり、ライブラリーで子ども向けの読み聞かせプログラムを行ったりと、ポートランドの多様性を象徴する存在となっている。(Port of Portland / Celeste Noche)

エアポートは街の玄関口であり、シンボルであり、ブランドを発信するにはとてもいい場所です。そういう点で、このポートランドの空港のリノベーションは、とても上手にポートランドが大事にすることを発信していて、上手だな!と思ったわけです。

そして帰りがけに従業員通路の前に、巨大な付箋があることを発見しました(通路なので作業中のため一部隠れていましたが)。工事進捗(2026年に第2期工事が完成します)を示すタスクリスト。こんなに巨大な付箋はないでしょうから、これがこの空港のアピールポイントを示す仕掛けなのでしょうね。

画像説明文

あまりに気になって調べたところ、しっかり公式サイトに紹介がありました。空港内の随所にもイラストを描いているポートランドで活躍するグラフィックデザイナーVee Chenting Qianさんの作品のようです。

ちなみに、このリノベーションの発表時のPR活動も抜かりありません。ファクトシートはしっかり公開されていますし、SNSでの発信のための素材提供はもちろん、発信の際のワーディングの注意点まで開示してくれいてる丁寧さ!

ここだけは原文で表示させてもらいます。

A note about wording

We’re all familiar with the acronyms and technical terms that are often used to discuss this project. When you’re sharing on social, remember that your friends, family, and clients may not know what “TCORE” or “PDX Next” mean – so talk about the project like you’re talking to a friend.

 

We’re moving away from the term “PDX Next” and talking about “the new PDX” instead.

 

Instead of “TCORE” or other internal names, let’s use phrases like “the new designs for PDX.”

 

Don’t shy away from sharing details and descriptions! Those can help others understand more about your role on the project or the stories behind the photos or videos you share.

 

Don’t forget to let people know they can check out the new PDX pre-security shops and restaurants – no boarding pass required.

「PDX Next」というのはこの空港リニューアルプロジェクトの名称で、ポートランドに住む人は知っているかもしれないけど、SNSとかでは知らない人もいるから、使わないようにね!という話がひとつ(略語使うと知ってる風にはなるのですが…笑、やさしくはないですね!)。

そして、写真だけじゃなく、詳細を添えてあげることを推奨することがひとつ。最後のアドバイスは、きっとよくある質問、「ここの空港は搭乗券を持ってなくても見られるの?」という問いに対しても、教えてあげるのを忘れないで!ということ。

PRやクリエイティブに関わる人なら、知ってるよ!ということばかりではあるかもしれませんが、ちゃんと伝えることで、運営者の真剣さやスタンスが見えてきますよね。

最後に、上記に指南された注意点に従って、ちゃんと皆さんに伝えておこうと思います。

このポートランド空港は、搭乗券を持っていなくても、セキュリティチェックを通る前に十分に堪能できます。

つまり、日本からポートランドに訪れて、フライト後疲れてしまった時にわざわざ見てまわる必要はなく、滞在期間中にふらっと空港に行けば楽しめます。お忘れなく!(街から車で20分です)

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松原佳代(広報コンサルタント/みずたまラボラトリー 代表)
松原佳代(広報コンサルタント/みずたまラボラトリー 代表)

スタートアップの広報育成・支援を手がける「みずたまラボラトリー」代表。お茶の水女子大学卒業後、コンサルティング会社、出版社を経て、2005年に面白法人カヤックに入社。広報部長、事業部長を兼任したのち子会社カヤックLivingの代表取締役に就任。移住事業の立ち上げに参画。2019年、家族で米国ポートランドに移住。一方、2015年に自身の会社「みずたまラボラトリー」を設立し、広報戦略、事業開発、経営全般にわたる経験と実績を活かしスタートアップの広報育成と支援を展開。富山県出身。富山県の経営戦略会議ウェルビーイング戦略プロジェクトチーム委員も務める。

松原佳代(広報コンサルタント/みずたまラボラトリー 代表)

スタートアップの広報育成・支援を手がける「みずたまラボラトリー」代表。お茶の水女子大学卒業後、コンサルティング会社、出版社を経て、2005年に面白法人カヤックに入社。広報部長、事業部長を兼任したのち子会社カヤックLivingの代表取締役に就任。移住事業の立ち上げに参画。2019年、家族で米国ポートランドに移住。一方、2015年に自身の会社「みずたまラボラトリー」を設立し、広報戦略、事業開発、経営全般にわたる経験と実績を活かしスタートアップの広報育成と支援を展開。富山県出身。富山県の経営戦略会議ウェルビーイング戦略プロジェクトチーム委員も務める。

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