セルフイメージを駆使したエリート軍人、PR視点で見るマッカーサー

写真 人物 個人 ダグラス・マッカーサー(Douglas MacArthur、1880-1964)

ダグラス・マッカーサー(Douglas MacArthur、1880-1964)

ダグラス・マッカーサー(Douglas MacArthur)は、第二次世界大戦後の日本占領を指導したアメリカの軍人として知られていますが、彼の活動には「パブリック・リレーションズ(PR)」の視点も多く含まれていました。

彼が戦後の日本で果たした役割の一環として、イメージ戦略や宣伝活動が非常に重要でした。今回は、セルフイメージを駆使したエリート軍人、マッカーサーを紹介します。

自己イメージの構築

マッカーサーは、意識的に自分のイメージを構築しました。彼は「解放者」や「民主化の象徴」として日本国民に自らを見せ、尊敬される存在になることを目指しました。

たとえば、彼は常にパイプを手にし、「戦場の英雄」としての象徴的なイメージを保ちました。彼のメディアへの露出は非常に計算されており、写真や映像を通じて、自分を強力で親しみやすいリーダーとして演出しました。

メディアの利用

マッカーサーはメディアを巧みに利用し、アメリカ国内外での自分の評価をコントロールしました。彼は新聞やテレビ・ラジオを通じて日本占領政策をアメリカ国民に支持させ、また日本国民にも彼の存在を正当化するために、メディアを活用しました。

写真 マッカーサーと昭和天皇の記念写真

マッカーサーと昭和天皇の記念写真。『昭和天皇・マッカーサー会見』 (岩波現代文庫 学術 193) では二人の会談内容が詳しく記されている。

特に、彼が昭和天皇と会談した際の写真は、その象徴的な価値から国際的に大きな影響を与えました。これにより、彼が日本を支配する一方で、天皇を維持することで日本社会の安定を図るというメッセージが発信されました。

占領政策の「PR」的側面

マッカーサーが実施した日本の占領政策、特に民主化や経済改革のプロセスには、「PR」的な側面が強く現れていました。これらの改革は日本の民衆に「アメリカの善意」として受け入れさせるため、慎重に調整されたメッセージが発信されました。

たとえば、教育改革や憲法制定においても、アメリカの民主主義的価値観を強調し、日本を平和な国へと導くというアプローチがPR戦略として展開されました。

国際的な評価の操作

マッカーサーはアメリカのみならず国際社会においても、日本の占領が成功していると見せるために、PR活動を行いました。彼のメッセージや政策の発信を通じて、日本の復興が順調であることを強調し、また自身のリーダーシップを国際的にアピールしました。

マッカーサーは単なる軍人ではなく、戦略的なPR活動を通じて自分自身のブランドを築き、日本と国際社会における影響力を最大化しました。彼の行動には、メディア操作やイメージ構築といった現代のPR戦略に通じる要素が数多く見られます。

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河西 仁(ミアキス・アソシエイツ 代表)
河西 仁(ミアキス・アソシエイツ 代表)

かさい・ひとし/ミアキス・アソシエイツ 代表、英パブリテック日本代表。10年にわたる外資系メーカーでの国内広報宣伝部門責任者を経て、1998年8月より広報コンサルタントとして独立。以来、延べ120社以上の外資系IT企業をはじめ、ITベンチャー各社の広報業務の企画実践に関するコンサルティング業務に携わる。メーカーでの広報担当時代(1989年~)から現在まで、自身で作成・校正を手がけたプレスリリースは、2400本を超えた(2023年10月31日現在: 2421本)。東京経済大学大学院コミュニケーション学研究科修士課程修了(コミュニケーション学)。日本広報学会会員。米IABC(International Association of Business Communications)会員。著書に『アイビー・リー 世界初の広報・PR業務』(同友館)。

河西 仁(ミアキス・アソシエイツ 代表)

かさい・ひとし/ミアキス・アソシエイツ 代表、英パブリテック日本代表。10年にわたる外資系メーカーでの国内広報宣伝部門責任者を経て、1998年8月より広報コンサルタントとして独立。以来、延べ120社以上の外資系IT企業をはじめ、ITベンチャー各社の広報業務の企画実践に関するコンサルティング業務に携わる。メーカーでの広報担当時代(1989年~)から現在まで、自身で作成・校正を手がけたプレスリリースは、2400本を超えた(2023年10月31日現在: 2421本)。東京経済大学大学院コミュニケーション学研究科修士課程修了(コミュニケーション学)。日本広報学会会員。米IABC(International Association of Business Communications)会員。著書に『アイビー・リー 世界初の広報・PR業務』(同友館)。

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