採用における情報発信の手段として、SNSの活用が浸透してきた昨今。学生の関心をつかみ行動変容につなげるコンテンツの在り方について、Instagramを活用して就活生へのアプローチを図っているコクヨに聞いた。
※本記事は、広報会議2024年8月号 特集「SNS活用 知っておきたい10のこと」の転載記事です。
コクヨ InstagramのDATA
Instagramの担当部署と人数:HR戦略推進部(新卒採用担当)の2人
開設年:2022年1月
フォロワー数:4999人(2024年6月19日時点)
更新頻度:週3回程度
その他、運用中のSNS:採用ではInstagramのみ
コクヨが採用広報でSNSを活用しはじめたのは2022年1月頃。きっかけは、同社の就職先としての認知をさらに拡大したいと考えたことだった。
「当社は文具メーカーとして馴染みがあるためか、コクヨを就職先として認知している方からの遷移率、つまり選考に参加してくれる割合は高いんです。一方で、そもそも就職先として認知していない層も多いことが課題でした。コクヨ=文具メーカーの認知を変え、文具に興味のない学生にも就職先としても想起してもらい、リーチ数を増やすためにSNSの運用を決定しました」(コクヨ HR戦略推進部渡邉陽南氏)。
独自性が伝わる媒体を選定
中でもInstagramを選んだのは、開設当時の学生に最も慣れ親しんだSNSだったため。文具メーカー以外の想起を得る手段として、オフィス・通販など幅広い事業や社内のカルチャーについて、ビジュアルを活用し臨場感を持って伝える狙いもある。
社員に“無茶ぶり”で、60秒一問一答をしてもらうリール(ショート動画)コンテンツも視聴数が多い。「仕事」や「就活」などのテーマに合わせて質問する。多様な部署の社員を選び、入社後のイメージが職種ごとにつきやすい形に。
また同社はかねて文房具の販促を目的としたInstagramアカウント「コクヨのぶんぐ」(約14万フォロワー)を運用している。同アカウントを起点にコミュニティも形成されており、社内でSNSの効果を感じる機会も多い。これが新卒採用のためのInstagram運用を後押しした。
形式に合わせ多角的な情報を
Instagramには「フィード投稿」、ショート動画を投稿できる「リール」、24時間で投稿が消える「ストーリーズ」、オンライン配信ができる「インスタライブ」など多様な投稿形式がある。同社では、こうしたコンテンツの性質に合わせた使い分けを意識しているという。
例えばES(エントリーシート)の書き方などの“就活Tips”をはじめ、学生がチェックしたくなる情報はフィードに。一方、社員インタビューといったライトに見られるものは90秒ほどの動画にまとめて、リールに投稿。Instagramのアルゴリズム上、リール動画は他のユーザーに「おすすめ」として表示されやすいため、より注力している。ストーリーズは、主に社内の日常を伝える用途に活用している。
人気コンテンツである、「就活お役立ち情報」の投稿。「ES作成の4つの注意点」の内容は、就活生がES作成に迷う時期に投稿するなどタイミングも考慮し、「保存数」も多かった。
インスタライブは会社説明会を補完する位置づけで、学生に特に伝えたいメッセージをテーマに配信することが多い。匿名であるためか学生からの質問も数多く寄せられ、一般的な会社説明会では伝えきれないリアルな情報を発信できる場となっている。
これらの様々な投稿スタイルを織り交ぜながら、渡邉氏と、同じくコクヨHR戦略推進部に所属する長濵陽奈里氏の2人で週3回程度の投稿を継続して行っている。
キャリアに役立つ発信を
アカウントの運営方針について、長濵氏はこう話す。
「コクヨの新卒採用では、志望の有無にかかわらず『すべての学生のキャリアに役立ち、学びとなる機会を提供する』というコンセプトを掲げています。そのためInstagramでも、就活全般に役立つ情報を発信しています」(長濵氏)。
Instagramの運用にあたっては、「プレエントリーを増やすこと」を目標とする。プレエントリーとは、学生がコクヨの採用におけるマイページをつくること。これをつくると、コクヨの採用情報をメールなどで受け取れるようになる。プレエントリーの目標数から逆算した上で、リーチ数やフォロワー数などの指標を設定している。
そこでプレエントリーを増やすために重視しているのが、「気軽に見てもらえるコンテンツづくり」だ。SNSは余暇や就寝前など、ゆったりした時間に見られることが多い。そうした日常に溶け込めるよう、採用イベントや説明会とは違ったカジュアルさを大切にしているという…
続きは広報会議2024年8月号 特集「SNS活用 知っておきたい10のこと」でご覧いただけます。
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