アントレプレナーシップ教育の推進こそ、民間出身の自分がやるべきこと
私が民間企業を退職し、下妻一高の校長に就任して、まもなく半年が経ちます。私が4月に掲げた学校経営の柱になるテーマが「アントレプレナーシップ教育の推進」です。逆境に負けず、困難に立ち向かい、新しい発想と構想力で様々な壁を突破して欲しい。そんな思いで、4月からの校長業をスタートさせています。
このアントレプレナーシップを推進するために重要になってくるのが「総合的な学習(探究)の時間」の強化です。文部科学省によると、「総合的な学習(探究)の時間は、変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものである」と提示されています。
私はこの授業の強化を進めてきました。具体的には、社会課題を見つけてそれを解決する学びを実践するものです。学校だけではどうしても視野が狭くなりがちなので、私の民間企業での経験を活かして、企業と学校を結びつけた授業を行っています。
生徒に期待することは、様々な分野での視野を広げ、かつ実社会で活躍されている方のお話を聞くことによって、いろんな体験をして欲しい。この体験を通じて、自分の将来の目標設定や大学受験の進路に結びつて欲しい。なりたい職業からバックキャスティングして大学などの進路を決めて欲しいと考えています。
「前例がない、だからやるのである」 教職員にも響いた松山社長の思い
そんな中で、探究授業の外部公演としてアサヒビールの松山一雄代表取締役社長にお越しいただきました。松山さんのことは以前から尊敬していたのですが、昨年、私のラジオ番組にゲストとしてお越しいただいたことをきっかけに、お知り合いになることができました。松山さんは今でも挑戦をし続け、アサヒビールにおいてチャレンジ精神のギアをあげている方です。またマーケティングと企業経営は目的が同じ(顧客の創造)という考え方にも、とても共感しています。
そんな松山さんから「チャレンジしなければ未来は変わらない」というテーマでご講演いただききました。
・未来は自分でつくるもの
・点は、いつかきっとつながる
・早く、賢く失敗して学び、挑戦しつづける(敗者復活戦が終わらないのが人生)
という構成のお話で、生徒たちの心に響いている様子が伝わってきました。
また「前例がない、だからやるのである」とうメッセージは、前年踏襲型の学校では真逆の考え方で、教職員含めてよい刺激を受けたことだと思います。
松山さんの講演が終わった後に質問の時間を設けたのですが、生徒の質の高い、かつ要点をついた質問力には目をみはるものがありました。予定していた時間ではおさまらず、会が終了した後に、生徒たちが廊下や校長室に来て、生徒自ら松山さんに質問している姿は特に印象的でした。
まだまだ日本も捨てたものじゃない。私もこの光景を見て勇気をいただきました。アサヒビールの社員の方にも、「この生徒たちの積極性を当社の社員にも見せたい」とお褒めの言葉をいただきました。嬉しかったですね。
私は、産業界と学校現場の架け橋となり、今こそ必要なチャレンジ精神=アントレプレナーシップ教育を産学連携で推進していきたいと思います。学校と企業のコンソーシアム構想こそ、私が掲げる次なる目標です。未来の日本を支える人材育成をして行くべく、私自らチャレンジをしていきたいと思います。