「常識を疑う力」を身につける。今、ボーダレス・クリエイティブを学ぶ意味

様々な人との出会いを掛け合わせる

阿部:私は、2017年から一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティの皆さんとお仕事をはじめました。そのダイアログさんが運営するのが東京・竹芝にあるダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」で、世代、ハンディキャップ、文化、宗教、民族、世の中を分断しているたくさんのものを出会いと対話によってつないでいるんです。

皆さんは「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」をご存知でしょうか?純度100%の暗闇の中で暗闇のエキスパートである視覚障害者がアテンドとして参加者を案内するこのイベントを体験し衝撃を受けました。

暗闇の中では、見た目の印象や肩書きなど、すべてが関係なくなります。人対人の純粋な関係性の中で暗闇を進んでいくと、見えないことで見えることがあるんですよね。本当に心を打たれるような感覚がありました。この体験で普段、いかに自分が見えているものに縛られているかを痛感しました。

ダイアログさんには、音のない世界で、言葉の壁を超えた対話を楽しむエンターテインメント、「ダイアログ・イン・サイレンス」というソーシャルエンターテインメントもあるんです。

このイベントをFMラジオ局のJ-WAVEさんが応援してくれていて、なぜ応援してくれているのか?という理由を深掘りしていくと、音が中心にあるラジオとは真逆の世界を知ることで、「つながる」意味を改めて学べるのではないかという思いがそこにはありました。そこから実現したのが、ダイアログ・イン・サイレンスの特別番組を⼿話通訳でYouTubeで届ける「サイレントラジオ」でした。

サイレントラジオ

この企画も、「果たしてラジオは音だけなのだろうか?」という当たり前を疑うところからはじまったものです。⽿だけではなく瞳でも楽しめるはずだ、と。

ダイアログさんと仕事をしていく中で、ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表の志村真介さんから身を持って教えていただいたのが「“だからこそ”の発想」の重要性です。たとえば、「見えない」を深掘りすると、見えないからこそ触覚や聴覚などほかの感覚が研ぎ澄まされるという面もあります。「だからこそ」に目を向けることで社会に優しい衝撃を起こす企画も生まれるかもしれない、その思いでいつも仕事に取り組んでいます。

私が実際にこうした仕事をしてみて、「DEI」とは「人との出会い」だと捉えています。自分のこれまでの出会いを掛け算し、新しいものを生み出すこと、その方法を講座でも詳しく伝えていきます。

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