原体験をもとにしたクリエイティブ
長谷川:私がここ数年協業させていただいているスタートアップ企業・ヘラルボニーは、知的障害のあるアーティストの方々のアートデータをビジネス化している企業です。
実は私が同社に携わるようになったきっかけには、個人的な経験も影響しています。私には重度の知的障害を持つ同い年のいとこがおり、彼の存在が、今も持ち続けている「障害を持つ人々がより暮らしやすい社会をつくりたい」という思いの原点になりました。
そして5年前、ヘラルボニーの代表である松田崇弥氏に出会ったことをきっかけに、同社のクリエイティブやブランディングのサポートをする機会をいただきました。
これまでの仕事でもっとも印象に残っているのが、「鳥肌が立つ、確定申告がある。」というへラルボニーの企業広告キャンペーンです。
1.31異彩の日 byヘラルボニー
これは、とあるアーティストのご家族からいただいた「ヘラルボニーの活動のおかげで、重度の知的障害のある息子が確定申告をするに至った」というDMから生まれたものでした。先ほどお話しした私のいとこも国の就労支援制度を活用して働いていますが、そこで働く障害のある方々の平均収入は月に約1万6000円ほどです。そんななか、同じ知的障害を持つ方が確定申告をするほど報酬を得ていることに衝撃を受け、鳥肌が立ちました。そしてこの事実をもっと多くの人に伝えたいとの思いで企画したのが、この広告キャンペーンです。
その結果、このキャンペーンは広告賞で高く評価されただけでなく、社会的にも大きな反響を得られ、やってよかったと感じました。
最後に、私がDEI視点のクリエイティブに取り組むにあたって、大切にしていることを紹介します。まず、「現場に足を運び、対話すること」。そして、「n=1の声に耳を傾けること」と「真面目なことを軽やかに伝えること」です。より詳しい、DEIに関わるクリエイティブをつくるコツやほかの事例は、本講座でお話しできればと思います。
質疑応答
Q1: クリエイティブの仕事をしていない人事担当者でも理解できる内容なのでしょうか。
A: 広告クリエイティブのスキルよりも、自分の考えを表現して共有する能力が重要です。講座では座学だけでなく、ワークショップも予定されており、人事担当者も含め、様々な立場の人が参加できる内容になっているので、ご安心ください。
Q2: 講座の中で、当事者の方々と直接対話したり、連携できるような機会はありますか。
A: ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表の志村真介さんにもゲスト講師として登壇いただきます。ぜひとも実際に東京・竹芝にあるダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」を訪れて、「対話」を体験してほしいと考えています。
DEIとコミュニケーションについて学ぶ
BORDERLESS CREATIVE SCHOOL 今期初開催です!
◯2024年10月22日(火)開講
◯全8回、隔週火曜日19:00-21:00開催
◯教室参加/オンライン参加 自由選択制
◯定員は25名、先着順で受付中