※本記事は『広報会議』2024年11月号 (10月1日発売予定)特集「サステナビリティの情報発信 行動変容を促すコミュニケーションとは?」の転載記事です。
日産自動車を中心に発足した “環境に配慮した旅行” を提案するプロジェクト「GREEN JOURNEY(グリーンジャーニー)」の推進委員会。全14社が参画し、8月20日に発足に関する記者発表会を実施した。
会見は2部制で、1部には34媒体、2部には24媒体と想定より多くのメディアが出席。最終的にはテレビが17番組、新聞とウェブメディアでは合計548媒体の露出につながった。
8月20日に実施した、「GREEN JOURNEY」推進委員会の記者発表会の様子。民間14社に加え、環境省や東北大学とも手を組んだという話題性もあり、多数のメディア露出につながった。
EVとの接点創出目指す
現在、旅行・観光産業は、世界のCO2排出量の1割以上を占める。その大部分が旅行者の移動から発生しているとされ、地域の経済・文化におけるサステナビリティへの貢献が求められている。こうした課題を受け発足したGREEN JOURNEY推進委員会は、業界の垣根を超えた全14社がサステナブルツーリズムの浸透へ向けて手を組んだ共同体だ。
委員会の発起人は、日産自動車と日 本旅行。加えて北海道旅客鉄道と東日本旅客鉄道、東海旅客鉄道、西日本旅客鉄道、四国旅客鉄道、九州旅客鉄道、日本貨物鉄道、地球の歩き方、おてつたび、TBWA HAKUHODO、Earth hacks、日本ジオパークネットワークの全14社で構成。また環境省と東北大学も連携している。
そもそも日産自動車が同プロジェクトの発起人となった背景には、2010年に発売された同社初の量産型電気自動車(EV)「日産リーフ」の存在があった。
同社の日本マーケティング本部 チーフマーケティングマネージャーオフィスの菊地美春氏は「EVは一度乗ってもらうと購入意向度も上がり、ファンになってもらいやすい。レンタカーとの相性がいい旅行と組み合わせることで、ターゲットである若年層とEVの接点も増えるのではないかと考えました」と狙いを明かす。
「GREEN JOURNEY」のキービジュアルには、旅と自然を愛するキャラクターである「ムーミン・シリーズ」のスナフキンを起用。ネーミングや「旅を楽しむヒント」を含め、見た人が内容がイメージしやすいことを重視した。
目的の明確化で大規模協業へ
自動車産業のみならず、旅行・観光産業にとってもCO2排出量の課題解決につながるとして実現したGREEN JOURNEY。当初は日産自動車と、TBWA HAKUHODOでプロジェクトを構想していた。そして旅行会社との協業でよりインパクトを打ち出せると考え、環境配慮への目的が合致している日本旅行との連携が決まった。
とはいえ、その後に多くの企業の賛同があり、14社での協業体制となったことは想定外だったという。
その要因について菊地氏は「中心となった日産自動車と日本旅行、TBWA HAKUHODOの3社が施策への思いや目的を何度もすり合わせて明確にしてきたこと」だと振り返る。
EV販売を拡大したい日産自動車とサステナブルツーリズムを促進したい日本旅行の双方の考えを突き詰めれば、共通点は生活者に気づきを与えることだ。参加するほかの12社も脱炭素や持続可能な世の中にしたい、そしてそれを生活者に気づいてほしいという思いは一致している。
「プロジェクトの目的や思いを明確に打ち出したことで共感いただき、協業がスムーズに決まりました」(菊地氏)。
シンプルに分かりやすく
プロジェクトではツアー参加者を募るため、生活者に向けたコミュニケーションも重要となる。その戦略について…
続きは、『広報会議』2024年11月号(10月1日発売予定) 特集「サステナビリティの情報発信 行動変容を促すコミュニケーションとは?」からご覧いただけます。
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