伊藤沙莉さんに見る、朝ドラ女優のマーケティング価値とは

CM起用に求められる作品づくりへの熱意

契約クライアントは以下の通り(2024年10月1日現在)。
・日本マクドナルド
・サントリー食品インターナショナル 「サントリー 伊右衛門プラス(健康茶シリーズ)」「サントリー BOSS カフェベース 割るだけ BOSS CAFÉ」
・サントリーウエルネス 企業広告
・ダイハツ工業 「ムーヴキャンバス」
・キタムラ 「キタムラ」「スタジオマリオ」
・花王 「ビオレブランド」
・エスエス製薬 「アレジオン」
・全国信用金庫協会

写真 CM カット 「スタジオマリオ」のCM
写真 CM カット 「スタジオマリオ」のCM
写真 CM カット 「スタジオマリオ」のCM

キタムラが運営するこども写真館「スタジオマリオ」のCM。こどもの笑顔を引き出そうと必死の伊藤さんが笑いを誘う。

日本マクドナルドとサントリーは2020年から続いているなど、契約が長期化しているのも人気の現れといえる。

キタムラでは2021年から伊藤さんを起用している。キタムラのCMは以前から俳優の安田顕、ディレクターに映画『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督を起用し、独特の世界観をつくり上げていた。そのことが伊藤さんの事務所スタッフの目に留まったのがきっかけという。

同社で制作に携わったカメラのキタムラ代表取締役社長執行役員の山﨑智彦氏が振り返る。「伊藤さんのように演技を大事にする役者さんを起用するためには、ギャラ交渉だけでは難しい。CMをひとつの作品と考え、企画や世界観を一緒につくりこんでいく熱意を伝えることこそが、信頼を勝ち取るためには極めて重要だということを学びました」

子役、脇役……、ネクストブレイクを狙え

女優の登竜門ともいわれてきた朝ドラ。半年間にわたってテレビに出続けることの意味は計り知れない。認知度の向上はもとより、「NHKの朝の顔」を務めることで、人気度も共感性も高まっていく。もとから若年層の支持を集めている女優が起用され、出演を経て全世代に人気が広がっていくケースが多いという。

もっとも、主演を経てさらに認知度と人気が高まった伊藤さんにはさらなるオファーが舞い込むことは間違いない。次に狙うべきはどこか。

タレントのCMキャスティングを担当するハンディのスタッフは、「朝ドラなら主人公の幼少時代や主人公を支える脇役に注目を」と強調する。

伊藤さんの朝ドラ出演も今回が初めてではない。2017年度放送の「ひよっこ」(主演・有村架純)に脇役として出演。その後、NHKドラマ「これは経費で落ちません!」(2019年)、「ももさんと7人のパパゲーノ」(2022年)を経て、今回の朝ドラ主演を勝ち取っている。

これまでの朝ドラ女優も同様だ。

清原果耶:「あさが来た」→「なつぞら」→「おかえりモネ」(主演)
浜辺美波:「まれ」→「らんまん」(主演)
趣里:「とと姉ちゃん」→「ブギウギ」(主演)
有村架純:「あまちゃん」→「ひよっこ」(主演)

ぜひ第2、第3の伊藤沙莉にも注目したい。

<今回のまとめ>
1. 朝ドラ視聴者は習慣的に毎日見るため、出演者に対して自ずと高認知・高好感度に。共感性も強くなる。
2. 主人公の幼少期や準主役、脇役にも注目。ネクストブレイクが待機。
3. 元々女優として評価も人気も高い伊藤さんだが、朝ドラの進行に伴いIGのフォロワーが+8万人に。投稿頻度も高く、本人の努力も本当にすごい。

タレント起用の新しい指針を提供したい(松田友穂)

広告・宣伝やPRにおけるタレント選定とその起用の仕方について。主観的な選定や予算に縛られる影響で、結果的にKPIやROIなどの達成について残念な経験を持つ方は多いと思います。そこそこのテレビCM予算しかなく、タレント予算も比例していて、キャンペーン認知率がとれていない!と怒られる、とか。
 
であれば、高認知・人気のタレントさんを起用し、メディア予算の再配分やPRを頑張る、など策はあるはずです(すみません!予算の策定や部署上のことなど難しいこともわかっています!)。
 
また、デジタル領域は、やらなくてはいけないこと、追いかけなくてはいけないことが、エンドレスに増え続ける中で、何をもって成功?効率化なのか?と……。本企画では、マーケティング視点のタレント起用をテーマに、今後データやトレンドを見ながら展開ができればと思います。また、なにより個性豊かなタレントさんのタレントも知って頂きたいですし、令和のこの時代に広告・宣伝領域でタレントさんがブレイクした!一時代を創った!につながりましたら嬉しいです。

企画 HANDY DIGITAL

“インテリジェンスを武器に、エンタメ業界の最先端を行く”を掲げ、エンタメ業界のDXに取り組む。業界初、200社以上の芸能事務所とオンライン連携し、約2.5万人のタレントプロフィールデータを簡単かつ瞬時に検索と資料化が出来るプラットフォーム、AI Casting Systemを開発運営。

松田友穂

HANDY DIGITAL 取締役 CMO

電通時代(新聞局→営業)の20年間、映画をはじめとするエンターテインメント業種に従事。2018年春より、ファミリーマートの販促・マーケティング部で統合マーケティングを推進。2021年よりHandYグループに参加。根っからのエンタメ・食べることラバー。

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