動画広告で実現する「テレデジ」投資の最適化 AaaS×DoubleVerify提携の狙いを聞く

――2社では、今年7月より配信の検証を実施したそうですね。通常配信と優良広告面への配信コストを比較すると1.18倍だったところ、「AaaS with DV」を使った配信では1.03倍にとどまった。さらにAIでの最適化を実施していない優良広告面配信との比較では、約13%のコスト削減を実現したとの発表がありました。この結果は想定より良かったのでしょうか、悪かったのでしょうか。

イメージ 視聴完了率においては通常配信に比較して26%向上していた。

視聴完了率においては通常配信に比較して26%向上していた。

安藤:1.03という数字は、今回のPoCの結果としてお出しできる結果であるという判断です。この数字よりも、良い結果が出た配信もあり、そこにおいては想定よりも良かったといえます。

――ブランドセーフティが担保された、優良の広告枠に配信するのだけれど、コストを抑えて配信を可能にする点に今回の訴求ポイントがあると考えます。日本の市場においては、広告主企業が安心・安全な広告枠のバイイングに際して、コスト負担が増えることを忌避する傾向が強いと指摘する声もありますが、そうした市場環境に配慮したのでしょうか。

武田:はい。AIを活用することで、コストは押さえながら、出稿枠の品質を担保する。これはAaaSのような仕組みと連携することで実現しえたことだと思います。

矢嶋:またコスト面に加えて、広告の安全性に対する企業の関心の高まりを感じています。私は日本インタラクティブ広告協会において、マネジメント委員会の委員長を務めています。この委員会では、業界全体でのコンプライアンス意識の浸透と強化に取り組むこともミッションのひとつ。ブランドセーフティに対する広告主側の要請は、より強まっていると感じます。

ブランドセーフティとは別の話ではありますが、詐欺広告が社会問題化する中で、広告の安全性に対する関心は高まっているといえます。今年は選挙イヤーということもあり、詐欺広告だけでなくフェイクニュースの問題など、社会的な関心が集まる中で、広告主企業の方々の意識もこれまで以上に高まっているのではないでしょうか。

――「AaaS」には、オンライン・オフラインの購買に関するデータを保有するデータホルダーと連携し、テレビCMやデジタル広告の購買に与える影響を可視化し、適切な広告運用を目指すソリューション(「Tele-Digi AaaS for Purchase」)もあると思います。例えばDoubleVerifyとの取り組みが、こうした購買起点の広告運用の仕組みにまで広がっていく可能性はあるのでしょうか。

矢嶋:これまで運用型のデジタル広告で可視化される効果は、メディア効果が中心だったと思います。そして、こうしたメディア効果の先にブランドセーフティやDoubleVerifyさんが最近、提唱するアテンション指標などもあるという認識です。

さらに、私たちが提供するAaaSは、広告効果の先にあるマーケティング効果、事業成長に貢献する効果を最大化することを基点に企画しています。DoubleVerifyさんと同じようにトンネルを掘ってきたのだけど、掘り始めた入り口が違うのかもしれませんし、今回の提携により、それぞれ掘り進めてきたトンネルが一本につながる可能性が生まれていると考えています。

武田:矢嶋さんが言う通りで、まさに、私たちとしてもそうした世界観が実現したいことです。

――AaaSの提供開始から約4年が経ちました。矢嶋さんはAaaSの現状をどう評価しているのでしょうか。

矢嶋:AaaSは第1期が終わり、今年から第2期に入っているという認識です。そして第1期は一定の成果が出せたと考えています。第2期の構想として今年から「With/Powerd by」という戦略を掲げています。

これは、もともと掲げていた考えでもありますが、第2期においては外部の多種多様なパートナー企業との協業で、AaaSのエコシステムをより強いものにしていきたい。今回のDoubleVerifyさんとの提携も、こうした構想があって実現したものです。

イメージ with/powerd by戦略の図

安藤:なぜ、私たちは「Advertising as a Service(AaaS)」と名付けたのか。それは当社のソリューション群という位置づけというより、これからの時代の新しい広告ビジネスの構想を表現しているもので、エコシステム的であると考えているからです。私たちが「この指とまれ」的に発信をしたものではありますが、「広告メディアビジネスを変革していきましょう」という想いを込めています。それゆえ、いろいろなパートナーの皆さんと協力関係を築かないと実現できません。今後も、外部の様々な方々と連携していく予定です。

武田:テレデジだけでなく、多種多様なメディア・チャネルがあるなかで、各データを取得・分析して、マーケティング全体としての効果を追求していく必要があります。博報堂DYメディアパートナーズさんとの取り組みで、オフラインのチャネルも含めた効果の可視化、さらに事業成長に貢献する広告投資の方向性を提案していければと考えています。

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