販促ソリューションのパートナーとしてSNSや店頭のプロモーションなどに強みを持つ電通プロモーションプラスが、昨今、ブランドづくりの観点からも実績を増やしている。最近ではパーソナライズヘアケアブランド「MEDULLA(メデュラ)」のリブランディングも担当。クライアントの代表やCDと共に議論を重ね、ブランドの新たな姿を打ち出した。
今回のリブランディングを推進したメンバー。(左から)Sparty クリエイティブディレクター 岡崎翼さん、同 代表取締役 深山陽介さん、電通プロモーションプラス プランニング・CR1部アートディレクター 石原絵梨さん、同 アートディレクター 片岡美亜さん。
顧客層に合わせたアップデートを
2018年にスタートした、Spartyのパーソナライズヘアケアブランド「MEDULLA」。同ブランドは2024年春に、3度目のリブランディングに踏み切った。その結果、新規獲得数がリニューアル前の5倍となり、継続率も向上。著名なインフルエンサーとのタイアップも実現するなど、競合がひしめくD2Cヘアケア市場で着々と成果をあげている。その背景には、電通プロモーションプラス(PMP)のアートディレクターと、二人三脚でコミュニケーションデザインを見直していった経緯がある。
今回電通PMPはパッケージの刷新(02)から携わり、購入体験の見直し(03,04)、「MEDULLA」ブランドの情報発信サイト「CLUB MEDULLA」のディレクションなど、徐々に担当領域を拡大。ブランド全体のコンサルティングからコミュニケーション設計、ひいては店頭展開まで、ブランディングパートナーとして多面的に協業している。
03 購入者の手元に届く、パッケージと外箱をリニューアル。「箱を開けた時にあっと驚きときめくようなデザインを目指した」と片岡さん。
04 ユーザーの髪質やお悩みに応じた製品を診断できる「WEB髪質診断」もアップデート。「より実際のカウンセリングのような体験設計となるように意識しました」と石原さん。
Spartyの代表取締役 深山陽介さんは、そもそものリブランディングの目的をこう振り返る。「MEDULLAブランドが始まって約5年(当時)。お客さまの層も当初とは変化するなかで、より現在のお客さまに親しみを感じてもらえるブランドにアップデートしたいと考えていました」。そこでまずは、顧客とブランドが直に接する瞬間の体験をデザインしようと、外箱を含むパッケージを先行して考えていくこととなった。
伴走することでブランドを共につくる
電通PMPのアートディレクター 石原絵梨さんは、Spartyから直接指名を受けた。「石原さんのこれまでの仕事を見て、直観的にMEDULLAの世界観にマッチすると思ったんです。またブランディングだけでなく、パッケージをはじめ立体物の実績が多数あるのも決め手となりました」(同 クリエイティブディレクター 岡崎翼さん)。
依頼を受けた石原さんは、「MEDULLA」のメインユーザー層と世代が近しいこともあり、「ユーザー像が自分の中にある」と確信。同じくアートディレクターの片岡美亜さんと共に、まずパッケージを約50案提案した。「その案を元に、深山さん、岡崎さんと共に、どうすれば実現ができるだろうかとフィジビリティ(実現可能性)の面も含めて検討していきました」(石原さん)。
今回の座組みで特にユニークなのは、CDがクライアント側にいる点だ。一般的には内部のCDのアイデアを発注先のデザイナーが具現化する、という受発注の関係性になりそうなところだが、今回はCDの岡崎さんとADの石原さん・片岡さんが共にブランドの在り方を考えていく形となった。
「どうすればMEDULLAらしいデザインを実現できるか――それを一番に考え、深山さんと岡崎さんと議論をしてさまざまな案をお出しする中で、ブランドの在り方についてもかなり理解を深めることができました。それを元に、容器に適した素材を探したり印刷加工の現場に足を運んだりと、約1年間、本当に細かなところまでご一緒させていただきましたね」(片岡さん)。
検討を経て、デザイン面では、カラフルな液色を見せるべくシャンプーのボトルをすりガラス調のものから透明に。トリートメントボトルを使い切りやすいようにチューブ型に変更したほか、購入者の名前をボトル及びチューブに印字するパーソナライズの仕組みを取り入れている。
「僕らとしてありがたかったのは、深くブランドを理解した上で、近い距離感でスピーディーに対応をしてくれたこと。もちろん、大御所のクリエイターの方に時間をかけて完全なブランドをつくってもらうという手もあります。ただ変化が早いこの時代、ブランドにとって必要なのは、事業を成長させるために共に手を動かしてくれて、拡張の余白のあるブランドの土台をつくっていけるパートナーなんです。石原さんたちとなら、共に新たなチャレンジをしていけると実感しています」(深山さん)。
「安売り」せずとも売れるように
パッケージのデザインと並行して、購入時の診断サイトも刷新。パッケージの世界観を踏襲し、かつユーザーごとにパーソナライズされた商品としての価値を創出しようと、ここでも岡崎さんと石原さんがディレクションに携わっている。さらにMEDULLAの情報発信サイト「CLUB MEDULLA」の立ち上げも推進した。
MEDULLAの情報発信サイト「CLUB MEDULLA」
「冒頭の成果はもちろん、僕らにとっては『安売りせずとも売れるようになった』ことがとても大きいですね。今回つくっていただいたデザインをベースに広告も運用していますが、『MEDULLAの広告ってなんか心地良いよね』という声も業界やお客さまから聞こえてきています」(岡崎さん)。
さらに今後は、24年3月に発売した洗い流さないトリートメント「ハイパーリンクセラム」のさらなるリテール展開も、電通PMPが後押しをしていく予定だ。「ブランドづくりから体験デザイン、SNS上のコミュニケーション、リテール開拓や店頭でのプロモーションと、一気通貫してデザインできるのが当社の強み。事業そのものに寄り添うコミュニケーションデザインの力で、今後もMEDULLAの成長を後押ししていけたら」(石原さん)。
両社は現在、すでにMEDULLAブランドの他の製品のリブランディングも進めているという。
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