10月2日の「世界えん罪の日」に合わせ、9月26日の再審公判で無罪が言い渡された「袴田事件」をもとに制作された新聞広告が中日新聞東海本社版(静岡)朝刊に掲載された。
人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」と、えん罪被害者の支援活動をしている「イノセンス・プロジェクト・ジャパン」の共同プロジェクト「ひとごとじゃないよ!人質司法」によるもの。
広告は「『正義』は暴走する」と題し、袴田巌さんが釈放されるまでの拘束期間47年7ヶ月9日、日数にして1万7388日を「正」で記し、長きにわたる闘いを紙面で表した。
拘束された日数を「正」の数で表し、司法制度について問いかけた新聞広告。
「世界えん罪の日」に合わせた新聞広告は、司法制度見直しへの世論を高めることを目的に実施。昨年に続き、今年も同事件の地である静岡で出稿している。
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袴田事件は、静岡一家4人強盗殺人事件で死刑が確定したがえん罪の可能性が強く指摘され、再審が行われて無罪が言い渡された袴田巌さんの事件。死刑事件の再審無罪判決は戦後5例目となり、今後検察が控訴しなければ無罪が確定する。
広告は、「『正義』は暴走する。私たちが止めないかぎり。」と題し、3477にも及ぶ「正」の文字を重ねた。「正」の文字は全てアートディレクターが手書きしている。
加えて、逮捕後に無罪を主張していたものの、連日連夜の厳しい取調べに耐え切れず嘘の自白にいたった袴田さんの状況などから、長時間の過酷な取り調べによる「人質司法」が起こりうる危険性について指摘している。
「人質司法を止める方法は、ただひとつ。この問題に関心を持ってください。そして、司法制度見直しへの世論を高めてください。本日10月2日は世界えん罪の日です。」などとメッセージを重ねている。