環境への取り組み、企業は積極的だが個人は無気力?ミンテルの調査結果

市場調査会社「Mintel Group」の日本法人であるミンテルジャパンは、「サステナビリティの世界的展望 2024-25」と題した調査レポートを発刊した。

本レポートは日本を含む世界10カ国の消費者1万人を対象にしており、ミンテルが独自に行ったサステナビリティに関する消費者の意識調査や外部データなどを基に、各企業が取り組むべき「サステナビリティ」の取り組みについてインサイトを提供。「食品・飲料」、「家庭用品」、「美容・パーソナルケア」と業界別レポートも発刊している。

関心は高くも、行動を起こす意欲は低い日本人

「人間の活動が地球温暖化/気候変動に大きな影響を及ぼしているとは思わない」という項目に対して、日本で「同意する」と回答したのはわずか18%で調査対象10カ国の中では最低、また同記述に「同意しない」と回答したのは日本で43%となり、中国に次いで2番目に高い数値であった。

さらに、2024年の調査対象の10カ国の中で、日本は「気候変動/地球温暖化」を関心事のトップ3に挙げた割合が一番高く57%であった。日本列島では台風や異常気象による甚大な被害が続いており、日本人が「気候変動」を身近に捉えていると考えられる。

このように、日本では「気候変動」などの環境問題に対する関心が高い人が多いことがうかがえた。しかし、「住んでいる国で起こる異常気象(洪水や熱波など)は、個人的に環境保護活動をするきっかけになる」という項目を世界では58%が選択したのに対し、日本で選択したのは47%。2022年の調査では、日本では52%がこの項目を選択していたため、以前と比較しても低下する結果となっている。

また、「自らの行動が環境にポジティブな影響を与える」と回答した割合が日本では、2021年で15%、2024年では19%であり、世界の平均である2021年:51%、2024年:47%と比較し著しく低い結果になっている。

これらの結果を踏まえ本レポートでは、今後、日本において政府や各企業がサステナブルな取り組みの重要性を消費者に伝え、啓発する余地が大いに残されていることを示しているとしている。

日本企業はサステナビリティへの取り組みに積極的

業界別レポートの調査では、日本の企業は「サステナビリティ」という観点において様々な努力を行っていることが明らかになっている。

業界別レポートの「食品・飲料編」では、世界の大半の市場で「エシカル/環境保護を訴求した飲料」の発売が大幅に増加していることに言及。2024年(1月~6月)に日本では83%と新商品の多くがこの訴求をしている。特に日本では2019年から7割以上をキープし、調査対象国の中でトップとなっている。

また、日本の「食品分野」における同訴求の2024年(1月~6月)の割合は41%となり、飲料に比べると低水準だが、2019年の15%から段階的に上昇していた。

「家庭用品」における同訴求の推移については、日本では2019年の17%から2024年(1月~6月)には31%まで上昇しているが、2024年(1月~6月)にイギリスは85%、ドイツでは84%の新商品がこの「エシカル/環境保護」を訴求しているため、日本企業に取り組める余地があることが示唆されている。

一方、世界の他市場ではまだあまり一般的ではない「詰め替え用」の訴求が日本では最も一般的で、2024年(1月~6月)に発売された家庭用品の28%が詰め替え用であった。

調査を経て、本レポートの著者であるリチャード・コープは、「各企業は、消費者がよりサステナブルな選択を行うために、分かりやすい情報や指標を活用することが重要です」「各企業のサステナビリティに関するキャンペーンの効果を高めるためには、環境全体への貢献だけでなく、消費者にとっての具体的なメリット、たとえば効率性、コスト削減、個人の健康といった要素にフォーカスすることが求められます」といったコメントをしている。

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