- パーパスを策定したけれど、この先どうしたら良いのかわからない
- パーパスを策定したことに満足してしまい画餅になっている
- これからパーパスを策定する予定だけれど、浸透、実践につなげるための方策を知りたい
- パーパスってバズワードっぽいけど、本当に意味あるの?
- 従業員全員で同じ方向を目指していきたいが、方法がわからない
この本を手に取っていただき、ありがとうございます。きっと皆さんには、このような課題があり、本書『パーパスの浸透と実践』を読んでみよう、と思われたのでしょう。これは、パーパスをすでに策定した、もしくはこれから策定する予定があるものの、その後の浸透方法に迷っている実務担当者の皆さんに向けて書かれたものです。企業のパーパスを明確にすることは重要ですが、その後のステップである浸透と実践こそが、企業全体を持続可能で成長し続けるグレートな組織へと導く鍵となります。
また、これからパーパスを策定する組織の方には、単にパーパスを策定するだけでなく、その策定プロセス自体も浸透の第一歩であるという視点を持っていただけると、その後の浸透活動がスムーズに進めやすくなります。パーパスの策定は終わりではなく、スタート地点にすぎません。例えば、パーパスの策定時にアンケートを実施することで、参加した従業員の「コミットした感」を醸成することにつながります。策定段階から組織全体を巻き込み、全従業員が共感し理解するプロセスを構築することが、後の浸透を円滑にするためには、極めて重要です。もしこれからパーパスを策定しようとする組織の方がいらっしゃったら、浸透、実践の視点を持って策定に取り組まれると高い効果を得られるでしょう。
なぜ本書を書いたのか?
近年、パーパスブームとも言える現象が見受けられます。多くの企業がパーパスを掲げ、その重要性を認識しています。しかし、パーパスを単なる流行として捉え、表面的な策定に終始してしまう企業も少なくありません。私が代表を務めるエスエムオーは、10年以上前からパーパス・ブランディングに取り組んでおり、おそらく日本で初めて「パーパス」の概念を持ち込んだコンサルティング会社だと自負しています。それも、日本企業、ブランドが成長し続けるためには、パーパスが必要である、と強く認識したからに他なりません。
しかしながら、それは「正しく認識し、活用」することが条件です。パーパス、という言葉が一般的になりつつあるこの状況は、嬉しくもある反面、きちんと理解して素晴らしい組織になるために活用してもらいたい、と強く思っています。従って、このようなバズワードのようになっている状況に警鐘を鳴らし、パーパスの真の価値を理解し、それを企業文化として根付かせるため前著『パーパス・ブランディング~「何をやるか?」ではなく、「なぜやるか?」から考える』を書きました。おかげさまで予想以上の大きな反響をいただき、本を読んでくださった企業の方からのお仕事も多くいただくようになりました。そして、本を読んだ感想として、「パーパス・ブランディングはよくわかったので、次は何をやったら良いのか教えてほしい」や「パーパスを策定した後のことを知りたい」というお声をいただきました。世の中の現状と、読者の方々からの感想をもとに、今回は、具体的な方法を提供するために、このたび本書を書きました。
本書の構成
本書では、パーパスの策定と浸透の両面にわたり、具体的な事例や実践的なアプローチを紹介しています。
パーパス実現への道のり
第1章「理解 パーパス・ブランディングとは」
第2章「準備 パーパスを導入する前に」
第3章「発見 パーパス・ディスカバリー」
第4章「浸透 パーパス・ムーブメント 」
第5章「ムーブメント施策」
第6章「マイ・パーパス」
第7章「実現 グレートネス」
とインタビュー、コラム、資料で構成されています。
パーパス・プロジェクトは組織に合った形で導入されるべきであり、決まった型というものは存在しないのですが、あくまでプロトタイプとしてのパーパス実現への道のりを冒頭につけました。全体の流れを知ることで、パーパスが浸透していく様子がイメージしやすくなると思います。
第1章「理解 パーパス・ブランディングとは」では、その定義やパーパスが世の中に広がっている背景などを解説しています。
第2章「準備 パーパスを導入する前に」では、実際にパーパスを導入すると決めた後に、やるべきことを書いています。最初の設計はとても重要ですので、ここは、ぜひよく読んでいただきたいところです。
第3章「発見 パーパス・ディスカバリー」は、パーパスの策定方法について記述しています。私たちは、策定も浸透の一部と位置づけているので、従業員の巻き込み方なども参考にしてください。策定はもう済んでしまったので浸透のことを知りたい、という方は、ここは読み飛ばしていただいても大丈夫です。
第4章「浸透 パーパス・ムーブメント」、第5章「ムーブメント施策」は、この本で最も伝えたいパーパスの具体的な浸透施策について言及しています。浸透について、具体的に書いてありますので進め方などイメージしやすいと思います。
第6章「マイ・パーパス」は、ムーブメントの一つでもあるのですが、昨今、話題になることが多い個人のパーパスについて、定義から始まり切り出して一つの章にしています。
第7章「実現 グレートネス」は、パーパスは策定、浸透することが目的ではなく、それをもって成長し続けること、偉大な会社にしていくことが目的であることを、パーパスを策定、浸透、実践している素晴らしい企業の事例を交えながら書いています。この章を読むと、ワクワクして、パーパス・ドリブンな組織で働きたい、自分たちの組織もそうしたい、と強く思うようになるかもしれません。
インタビューでは、富士フイルムグループのパーパスの浸透についてお話を伺いました。彼らならではのオリジナリティーにあふれた、でも応用可能な浸透施策についてです。
企業が持続可能な成長を遂げるため、偉大な会社になっていくためには、従業員一人ひとりがパーパスを理解し、自らの行動に反映させることが必要です。そのための手助けとなる一冊として、皆さんのお役に立てれば幸いです。
『企業が成長し続けるための7つのステップ パーパスの浸透と実践』
(齊藤三希子著)定価:2,420円(本体2,200円+税)
近年、多くの企業がパーパスを掲げるようになりましたが、掲げたものの実践できずに困っているところも少なくありません。そんな課題を持つ皆さんに向けて、日本で早くからパーパス・ブランディングに取り組んできた齊藤三希子氏が書下ろしたのが本書。多くの人にパーパスを正しく認識・活用してもらうべく、本書では策定と浸透の両面にわたり、パーパス実現への道のりと各過程における具体的な事例や実践的なアプローチを紹介しています。